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飲食店のまかない事情。いつ食べる? どんなメニューがでる? 新商品のきっかけにも!

まかないの魅力は?その背景にある“現場のリアル”を探る

飲食店で働く楽しみのひとつといえば「まかない」でしょう。食費を節約できるうえに美味しいごはんが食べられることは、飲食店勤務者の特権。働くモチベーションがアップしますし、求人応募のきっかけになることも。また、店舗側にとってもメリットがあり、自店の料理をスタッフに理解してもらうことや、食品ロスを減らしてコストを削減することにつながります。まかないを単なる食事にせずに、より良い店舗運営のために最大限に活用しましょう。
画像素材:PIXTA

まかないのメニューは?食べるタイミングは?

はじめに、飲食店のまかない事情をご紹介します。メニューも食べるタイミングもお店によってさまざまです。

■どんなまかないが食べられる?

まかないについては、その日ごとに異なるメニューが登場する店があれば、毎回同じようなメニューを出す店も。基本的には店の業態に近いものがメニューになることが多いようです。例えば、カレー店ならカレーが多いですし、イタリアンレストランではパスタやピザ、定食屋さんではご飯にお惣菜がまかないになるのが一般的です。

まかないは店の残りものを使って一から作るケースもありますが、店のメニューをそのまままかないとして提供することも多々あります。また、急遽予約のキャンセルが入った場合、その食材を使ってまかないを作るということもあるようです。

■まかないを食べるタイミングは?

シフトの休憩中、仕事が終わった後など、まかないを食べるタイミングは店によってさまざまです。ランチタイムやディナータイムは忙しい時間帯のため、「アイドルタイム」に食べるのが一般的でしょう。アイドルタイムは店の業態によって異なりますが、14:00〜17:00の間を食事や休憩の時間に充てている飲食店が多いようです。

まかないをスタッフ全員で一斉に食べる場合もあれば、休憩に入ったタイミングで一人ひとり別々に食べるケースもあります。全員で食べる場合は、スタッフ同士のコミュニケーションの場としても活用されます。

まかないを語るスタッフのリアルな声

続いて、普段まかないを食べている飲食店スタッフの声を取り上げます。

「自分の店の料理の味を実際に知ることができて、接客に活かせる」
「美味しいまかないを食べられると思うとつらいことがあっても頑張れる」
「今日のまかないは何だろうという楽しみがある」
「お金がないときにはシフトを増やして食費を浮かせている」

リアルな声からは、まかないが単なる食事ではなく、さまざまなメリットにつながっていることがわかります。

■実際の声:一斉に食べる、個別、ビュッフェ形式など

まかないは、勤務中に順番で食べる、営業前後またはランチとディナーの間に全員で食べる、営業前や休憩中の2回制などのほか、店によって提供されるタイミングは異なります。

また、各自の皿で食事をするほかにも、「鍋を提供する店で働いていて、営業後にバイトの仲間と同じ鍋を囲むのが楽しかった」「ビュッフェ形式で、自分の休憩のタイミングで取って食べていた」などの声もあり、さまざまなスタイルがあることがわかります。

「まかない」から新メニュー誕生!?

まかないはお店にとってもいろいろなメリットがあります。まかないを導入することで具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

■若手調理スタッフの練習の機会になる

まかないを作る担当は、若手、ベテラン関係なく調理スタッフが順番で回していくお店が多いでしょう。若手スタッフにとっては調理の腕を試す、練習をする場となるため、料理のスキルを磨くことのできる貴重な機会になります。

■看板メニューを生み出すことも

時としてまかないは、お店の看板メニューを生み出すこともあります。いまや洋食店の定番メニューとして欠かせない『オムライス』。その元となったのは銀座にある『煉瓦亭』という洋食店のまかないでした。また、ラーメン店の人気メニューであるつけ麺も、『大勝軒』のまかないが元になったと言われています。

これらはまかないが偶然メニューになった例ですが、あえてまかないをメニュー開発の場として利用するケースも。試作品をまかないとしてスタッフに食べてもらい、感想を聞き、意見を取り入れながら商品をブラッシュアップしていきます。スタッフにとってメニュー開発に自分たちの意見が取り入れられるのは嬉しいこと。店への愛着が増し、一体感にもつながります。

■従業員に料理への理解を深めてもらえる

まかないはキッチンスタッフだけでなく、ホールスタッフにとってもメリットがあります。店で提供されている料理と同じ料理を出している場合、店の味を自分の舌で味わうことができます。つまり、お客さんに味や使用している食材を聞かれたときも、スムーズに受け答えができるのです。店への理解を深めるという面でも、非常に役立ちます。

■従業員のモチベーション向上

忙しい時間を過ぎたあとに食べるまかないは、お腹も心も満たしてくれます。バイト継続のモチベーションにもなるでしょう。キッチンスタッフにとっては、自分の料理の腕をまわりから評価してもらえる場にもなります。作った料理に対する反応を直に聞けるため、スキル向上やモチベーションアップにつながります。

まかないと育成:新人スタッフへの活用方法

前述の通り、キッチンスタッフの成長・育成の機会としてまかないづくりを活用している店も多くあります。特に未経験スタッフの練習の場には最適です。

■事例①:未経験新人が“まかない担当”で学んだこと

まかないは、調理未経験の新人スタッフを育成する場として活用できます。一定の労働時間数でシフトに入っているスタッフなら、1か月間で包丁の使い方や調味料の使い方、時間管理など基本的な料理スキルを身につけることができます。

具体的には、定番の献立を日替わりで作る実践を行います。最初は指導者が実演、次に共同作業、最後にスタッフ自身で作るというステップ方式を採用するとよいでしょう。毎回フィードバックを行うことで、包丁技術、味付け、作業効率、盛り付けを習得させ、1か月で基本的な調理能力を身につけてもらうのが目標です。

調理未経験の新人スタッフを短期間で戦力として育成したい場合や人材不足に悩む飲食店には特におすすめです。

■事例②:既存スタッフのレベルアップに

既存スタッフのレベルアップを目的にまかないを活用することもできます。調理スキルをもつスタッフが新しい調理法やアレンジを試すことで、レシピ開発力につなげることができます。

具体的には、以下をポイントに、全キッチンスタッフに1週間ごとに交代でまかないを担当してもらい、献立の立案・調理を任せます。

・簡単なテーマを設定する(例:「旬の食材を使うこと」「麺料理」など)
・料理名をつけてもらう
・かかる費用を把握する
・店舗営業に影響しないよう手の込んだ料理は避ける
・「素早くできる・美味しい・見た目が美しい」を目標とする
・店長や料理長、スタッフなどがフィードバックを行う

キッチンスタッフのモチベーションが向上するだけでなく、まかないのバラエティを増やすこともできますし、スタッフ同士のコミュニケーションも増え、店舗全体のチームワーク向上にも役立ちます。

食事補助とまかないの違い、法務・税務的視点

まかないは法務・税務の観点から理解しておくことも重要です。食事補助とまかないとでは、「目的」と「課税の扱い」に違いがあります。

社食やまかないは、会社または店舗が従業員に提供する「勤務のために必要な食事」。具体的には、余った食材などを利用して、従業員のために作る食事のことをいいます。一定条件を満たすことで福利厚生として扱われ非課税となりますが、条件を満たしていない場合は、現物支給の給与とみなされ課税対象となります。

一方、食事補助は、割引や現金などで従業員の昼食費などを補助する制度。大手飲食チェーンなどでは、販売メニューを割引価格で購入できることが多いですが、そういった場合、厳密にはまかないではなく食事補助に該当します。金銭支給は原則給与の一部としてみなされ課税対象となります。社員食堂での提供や自社メニュー割引は、要件を満たすことでまかないと同様に非課税扱いが認められることがあります。

■無料提供は課税リスクあり

まかないを無料で提供した場合は「現物支給の給与」とみなされ、原則として課税対象となります。また、従業員の負担額が原価の半額未満である場合にも、その差額が給与とみなされ、所得税や住民税、社会保険料の算定対象になる可能性があります。

■非課税にできる条件とは?

まかないを非課税にするには、国税庁の定める以下の「食事の支給に関する非課税要件」を満たす必要があります。

1 従業員が食事代(料理の原価)の半分以上を自己負担していること
2 会社負担分が、スタッフ一人あたり月3,500円(税抜)以下であること

これらは「50%・3,500円ルール」と言われることもあります。
例えばまかないを1食500円とします。
10食で、500×10=5,000円。従業員が50%である半分を負担すると、2,500円(50%)。会社負担分も2,500円。①②の条件を満たします。

同じ条件で原価が10,000円とすると、従業員負担は5,000円。会社負担は5,000円で②の条件を満たしません。

また、①②に加えて、まかないの提供が全従業員に公平であること、勤務時間中または業務に関連した際に提供されることも条件です。 以上を満たしたうえで、会計処理では食材原価を福利厚生費として計上できます。

採用ツールとしてのまかないの強み

求人や採用活動の際、「まかない付き」「無料または割安な食事が付く」と明記することで、特に一人暮らしの学生や若年層、飲食業界志望者の目を引きやすくなります。実際「まかないあり」の求人は注目度が高く、求職者の65%が「まかないの有無を重視」、特に一人暮らし学生の80%が「重要」と回答した調査データも報告されています。また、従業員の食事負担を軽くする制度は、採用後の従業員満足度や定着率向上にもつながるでしょう。

参照:「 HITO Manager

■求職者が知りたいまかない情報は?

まかないを工夫し魅力を打ち出すことで、他店と差別化を図り、注目度を高めることが期待できます。求職者がまかないについて気になる点は、以下の通りです。

・メニュー内容
「HITO Manager」によるまかないについての調査では「まかないでしか食べられないオリジナルメニューがあるとうれしい」「毎回違うメニューを楽しめるのか」「好き嫌いにあったものが選べるか」「栄養バランスがとれているか」といった声がありました。総じて飽きずに食べられる内容かどうかがポイントのようです。

・料金
一食分のまかないに対して払える金額を聞いたアンケートでは、最も多いのは「0円(無料)」でしたが、概ね300円までという回答が8割以上を占めました。それを超える金額のまかないは、あまりニーズがないと考えられます。

・提供ルール
誰でも食べられるのか?という点に加え、終業後に早く帰りたい時やおなかがすいていない時などに断ることができるかどうかも気になる人が多いことがうかがえました。

求職者は、好みやその時々に応じて柔軟な対応が可能かどうかを知りたい傾向があると言えるでしょう。

■「まかない付き求人」の効果と注意点

まかない付きの求人は、応募増につながる一方、「期待値と違う」と不満が出ないようルール明記が必要です。

前述の調査結果にもあるように、「まかない=無料」と期待する求職者は多いので、料金については特に誤解を与えないようにきちんと記載しておきましょう。また、提供条件があれば、それらについても記載しておくのが望ましいです。

現場で気をつけたいまかないルール・マナー

飲食店におけるまかない提供には、気をつけたいルールがあります。

・調理担当の負担を分散する
新人スタッフが調理スキルを磨くためにまかない作りを担当する場合などを除き、負担を分散させるために、スタッフは交代でまかないを担当するとよいでしょう。特定の従業員に負担を集中させないことが大事です。

・残飯の取り扱い
残飯の扱いについては、企業や店舗によって異なります。余った食材や料理を無駄にしないために、スタッフが持ち帰ることを許可する場合や、翌日のまかないに再利用するケースもあります。食材の無駄を減らし、コスト削減につながります。ただし、生ものや傷みやすいものの取り扱いには注意が必要です。

・新人スタッフへの気配り
新人スタッフに先にまかないを食べさせるという店舗が少なくありません。ルールというよりもスタッフが安心して働くことができ、早く業務に慣れるための気配りといえるでしょう。

「まかない」は福利厚生を超えた現場の力に

まとめると、まかないには、大きく以下の4つの面でメリットがあります。

・店の食文化を理解する場
店の味を理解しつつ「食文化」を共有し、コミュニケーションのきっかけにすることもできます。

・教育の場 新人スタッフの練習の場、経験者においても調理技術のさらなる向上やレシピ開発力を育成する場になります。

・採用のPRポイントに
美味しく安価な食事付きというのは採用活動においても大きなアピールポイントになります。

・経営面でのメリット
フードロス対策としても有効活用することができます。

ただ単に決まった食事を提供するだけでは、まかないのメリットを充分に活かしきれていない可能性があります。これを機に、自店のまかないを見直してみてはいかがでしょうか。

飲食店のまかない よくある質問

Q.

飲食店の「まかない」は、どこのお店でも食べられますか?

A.

いいえ、全てのお店にあるわけではありません。まかない制度がないお店や、シフトによっては食べられない場合もあります。また、「まかない」ではなく、お店のメニューを割引価格で食べられる「食事補助」制度を導入しているチェーン店も多いです。

Q.

まかないは無料ですか?料金がかかることもありますか?

A.

お店によって異なります。無料で提供しているお店も多いですが、食費として1食あたり数百円を徴収するお店もあります。無料の場合は給与の一部(現物支給)と見なされ課税対象になるため、有料としているお店も少なくありません。

Q.

まかないでは、どのようなメニューが食べられるのでしょうか?

A.

パスタやカレーなど、そのお店の業態に近いものが提供されるのが一般的です。余った食材で作ることもあれば、お店のメニューをそのまま、あるいは割引価格で提供する場合もあります。予約がキャンセルになった高級食材がまかないになることもあります。

Q.

まかないを食べるメリットは何ですか?

A.

スタッフにとっては食費の節約になるだけでなく、ホールスタッフはお店の料理の味を覚えることでお客様への説明がしやすくなります。調理スタッフにとっては、料理の腕を試す練習の場となり、モチベーション向上にも繋がります。

Q.

まかないからお店の人気メニューが生まれることがあるというのは本当ですか?

A.

はい、本当です。今や定番の「オムライス」やラーメンの「つけ麺」も、元々はお店のまかない料理だったと言われています。試作品をまかないとして提供し、スタッフの意見を元にブラッシュアップして新メニューを開発するお店もあります。

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この記事の著者
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若松真美

ライター

神奈川県在住ライター。女性向けライフスタイル、インバウンド、国内旅行、食などの分野で執筆や編集を経験。週末は東京下町や鎌倉などで飲み歩く。特に和食とエスニックが好き。