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2023-10-02 18:12:13.0

労働者なら必ず知っておきたい「最低賃金」のこと。算出方法や下回った時の対応は?

雇用形態や産業分野、職種、年齢に関係なく、事業場で働くすべての労働者と使用者に適用される地域別最低賃金。2017年3月に決定された「働き方改革実行計画」で、政府が「全国加重平均1,000円を目指し、年率3%程度を目安に最低賃金を引き上げていく」という目標を掲げたことで、その額は年々増加しています。

2023年度には、どのタイミングで、どの程度の金額まで引き上げられるのでしょうか。最低賃金の算出方法や、賃金の支給額が最低賃金を下回った場合に取るべき対応を解説します。
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最低賃金の引き上げ額や改定スタートの時期は?

2023年度の地域別最低賃金は、前年度と比べて10都府県で41円、17道府県で40円アップすることが決定しました。全国加重平均額は、前年度の961円に対し、2023年度は過去最高額の1,002円に。政府が目標として掲げる1,000円を初めて超えます。

改定後の地域別最低賃金が施行されるのは、10月からです。都道府県別の最低賃金額、改定額が適用される日にちは、厚生労働省のホームページでご確認ください。

【地域別最低賃金の全国一覧】 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

賃金が最低賃金を下回っていないか確認する方法 

賃金が時給換算で最低賃金を上回っているかどうかは、それぞれの給料制に応じた計算方法で確認することができます。

■月給制

【月給1年分÷1ヶ月の平均所定労働時間の金額】

月給には、基本給や職務手当を加算し、残業代や通勤手当などは除外します。
<例>
(月給300,000円×12ケ月)÷(年間労働日数240日×1日の労働時間 8時間) = 時給換算で1,875円

■日給制

【日給÷1日の所定労働時間の金額】

<例>
日給12,000円÷8時間=時給換算で1,500円
日額が定められた特定(産業別)最低賃金が適用される場合は、日給≧最低賃金額(日額)となります。

■基本給が日給制で、手当(職務手当など)が月給制の場合

【基本給の時給換算 + 職務手当の時間換算】

<例>
・基本給の時給換算/日給8,000円÷1日の労働時間 8時間=1,000円
・職務手当の時間換算/(職務手当15,000円 × 12ケ月)÷(年間労働日数240日×8時間)=94円
・合計/1,000円+94=時給換算で1,094円

■歩合給制(出来高制)や請負制

【歩合給の支給額÷総労働時間】

<例>
支給額200,000円÷総労働時間(1日8時間×20日+残業10時間)=時給換算で1,176円

もし賃金が最低賃金を下回っていたら

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労働者が使用者と合意したうえで、最低賃金に満たない金額で働いていたとしても、その契約は法律上では無効です。使用者は労働者に対し、最低でも過去3ヶ月分、最長2年分をさかのぼり、最低賃金との差額を支払わなければなりません。差額分を支払わないと法律違反となり、地域別最低賃金の場合は50万円以下の罰金が課されることになります。

労働者は、雇用側に差額分を請求することができます。ただし、さかのぼり期間は所定の支給日より2年です。期間を過ぎると請求できなくなってしまうので注意しましょう。

最低賃金は雇用形態にかかわらず一律に定められているため、正社員だけでなく、アルバイトやパート、派遣スタッフであっても差額分を請求する権利があります。労働者の国籍も関係ありません。

差額分を請求する場合は、会社側に請求書を送付します。先ほどの計算式に自分の賃金を当てはめて時給換算の額を計算し、最低賃金を下回っていることが確認できたら、その旨を記載した請求書を作成して会社に郵送しましょう。支払いを要求する「催告」の意味を込めた請求書のため、普通郵便ではなく内容証明郵便で送ることをおすすめします。

賃金の請求は、労働者の正当な権利です。請求書の送付や話し合いを経ても差額分の支払いや賃上げに応じてもらえない場合は、各地域の労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

労働者が最低賃金を知り、計算できるようになっておくことは、自身の権利を守ることにつながります。また、就職・転職の際の企業選びにも役立つはずです。これを機に、ぜひ最低賃金をチェックする習慣をつけてくださいね。