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独立・開業時の年齢は? 資金はどれくらい必要? 飲食店含む調査実態まとめ!

「タイミングはいつ?」「資金はどの程度用意するべき?」将来飲食店経営者として独立を考えている人なら、誰もが思う疑問でしょう。今回は日本政策金融公庫が発表した「2024年度新規開業実態調査」から独立・起業のタイミングや背景、資金などの傾向をまとめました。

「2024年度新規開業実態調査」は、日本政策金融公庫国民生活事業が2023年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業1990社(不動産賃貸業を除く)を対象に実施したもの。回答者の開業業種は「サービス業」がもっとも多く29.2%、宿泊・飲食業は約14.5%。約6割が個人事業主です。また、女性開業者の割合は25.5%で、調査開始以来最高となりました。では結果を見ていきましょう。
画像素材:PIXTA

30・40代での開業が半数を占める

■独立・開業時の年齢と経験

開業時の年齢で1番多かったのは「40代」で37.4%でした。続いて「30代」が28.6%、「50代以上」も27%を占めています。 一方「29歳以下」は6.9%とわずか。開業時の平均年齢は43.6歳でした。

開業前の職業経験については、開業者の97.9%が勤務経験を持ち、83.1%が開業業種に関連する業務経験(斯業経験)を有しています。また、66.7%が管理職経験者でした。開業直前の職業は「正社員・正職員(管理職)」の割合が41.1%と最も高く、次いで「正社員・正職員(管理職以外)」が31.7%。経験年数の平均は「勤務経験」が20.8年、「斯業経験」が14.7年でした。この結果からも企業等に属し、じっくりと経験を積んで独立する人が多いことがわかります。

■開業動機

開業動機への回答(3つまで複数回答可)で1番多かったのは、「自由に仕事がしたかった」で56.9%。続いて以下のような結果でした。

「仕事の経験・知識や資格を活かしたかった」46.0%
「収入を増やしたかった」45.1%
「事業経営という仕事に興味があった」38.9%
「自分の技術やアイデアを事業化したかった」27.3%
「時間や気持ちにゆとりが欲しかった」23.7%

この結果からは、総じて「自分の経験を活かし思うように仕事をしたい」という人が多いと言えるでしょう。

■開業後の満足度

開業に対しての総合的な満足度をみると、「かなり満足」が31.0%、「やや満足」が43.9%で開業者の7割以上が満足していると回答。「仕事のやりがい(自分の能力の発揮)」については、84.1%が「かなり満足」と回答しており、非常に高い数字でした。また、独立や起業と聞くと多忙なイメージがありますが、「かなり満足」「やや満足」を合わせると「ワークライフバランス」への満足度も53.2%と低くない数字でした。

画像素材:PIXTA

大きな課題となる開業資金はどのくらい?

開業資金は、250万円未満が20.1%、250~500万円未満が21.0%と、500万円未満が合わせて41.1%を占めていました。平均開業資金は985万円、中央値は580万円で、少額での開業は年々増加傾向にあります。これらは飲食業に限った数字ではありませんが、開業費用を押さえ、リスクを下げることが重視されていることがわかります。

資金調達については、平均調達額は1,197万円で、そのうち「金融機関などからの借り入れ」が65.2%(平均780万円)、「自己資金」が24.5%(平均293万円)という結果でした。

開業後の売上状況については、現在の月商が「100万円未満」の割合は40.2%、「100万~500万円未満」が43.9%で、60.0%の開業者がが『売上が増加傾向にある』と回答しています。採算状況は「黒字基調」が67.3%、「赤字基調」が32.7%。

加えて開業時に苦労したことへの回答は「資金繰り、資金調達」59.2%、「顧客・販路の開拓」48.1%、「財務・税務・法務に関する知識の不足」36.7%という結果。集客や税務処理などやるべきことも多く、資金繰り・売り上げ面は一筋縄ではいかない状況が推察されます。

日本政策金融公庫の融資制度が創設

2024年4月に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が廃止され、新規開業資金制度が創設されています。

新制度では、融資限度額が最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円まで)から最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)へと拡大されました。返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で10年以内、据置期間も1年から最大5年になり、旧制度よりも長期での返済が可能になりました。適切な事業計画の策定と遂行能力が求められますが、自己資金がなくても申請可能になったことは大きなメリットでしょう。旧制度に続いて無担保・無保証人で利用できます。

調査結果からは、多くの人が30代から50代で、これまでの職業経験やスキルを活かし、比較的少額の資金で独立・開業していることがわかりました。また、開業後の満足度は高く、やりがいを感じている人が多いものの、資金調達や集客面で課題を抱えることも少なくないようです。飲食店開業と成功への道のりにおいても、これらは重要なヒントとなるでしょう。

飲食店の独立・開業データ よくある質問

Q.

飲食店などで独立開業する人は、何歳くらいの人が多いですか?

A.

日本政策金融公庫の調査によると、開業時の平均年齢は43.6歳で、特に「40代」が37.4%と最も多く、次いで「30代」が28.6%です。多くの人が十分な社会人経験を積んでから独立していることがわかります。

Q.

開業する人の主な動機は何ですか?

A.

最も多い動機は「自由に仕事がしたかった」(56.9%)です。続いて「仕事の経験・知識や資格を活かしたかった」「収入を増やしたかった」が多く、自分の裁量で、培ったスキルを活かして働きたいと考える人が多いようです。

Q.

開業には、どのくらいの資金を用意すれば良いのでしょうか?

A.

開業資金500万円未満で始める人が全体の4割以上を占めており、少額での開業が増加傾向にあります。調査での平均開業資金は985万円ですが、中央値は580万円となっており、半数以上の人がこのあたりを目安にしていると考えられます。

Q.

開業資金は、すべて自己資金でまかなう必要がありますか?

A.

いいえ、そんなことはありません。調査によると、資金調達のうち自己資金が占める割合は約25%で、約65%は金融機関などからの借入れです。日本政策金融公庫の新しい創業支援融資制度など、自己資金がなくても申請可能な制度もあります。

Q.

開業した人が、実際に最も苦労していることは何ですか?

A.

最も多くの人が苦労した点として挙げているのが「資金繰り、資金調達」(59.2%)です。次いで「顧客・販路の開拓」(48.1%)となっており、お金の管理と集客が大きな課題となることがわかります。

  • この記事の著者
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    若松真美

    ライター

    神奈川県在住ライター。女性向けライフスタイル、インバウンド、国内旅行、食などの分野で執筆や編集を経験。週末は東京下町や鎌倉などで飲み歩く。特に和食とエスニックが好き。