4月から改正障害者差別解消法がスタート。障害のあるお客さまへの対応はどう変わる?
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4月より施行される「改正障害者差別解消法」とは
現行の法律では、事業者による「合理的配慮の提供」は努力義務という位置づけでしたが、2024年4月1日から施行される改正法では義務化されることになります。
なお、ここで言う障害のある人とは、障害者手帳を持っている人だけではありません。身体障害、知的障害、精神障害に限らず、その他社会にあるバリアによって生活に制限を受けている全ての人が対象となります。
禁止されている「不当な差別的取り扱い」とは何か
不当な差別的取り扱いとは、障害があるという理由で障害がない人と異なる接客をし、障害がある人を不利に扱うことを指します。例えば、飲食店においては以下のような対応が当てはまります。■不当な差別的取扱いの具体例
・障害のある人は一律に、同伴者や介護者がいないと入店できない
・障害があることを理由に、障害のある人に対して一律に接客の質を下げる
もちろん、客観的に考えてやむを得ない「正当な理由」がある場合には、不当な差別的取り扱いにはなりません。その場合は本人へ理由を丁寧に説明し、理解を得る努力が求められます。
ただし「過去に同じようなことがあったから」「常識的に考えてそうだから」といった一律の判断基準は、「正当な理由」には該当しません。障害の程度や利用の内容はケースバイケースのため、個別の判断が必要です。
4月より義務化される「合理的配慮の提供」とは何か
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■合理的配慮の提供の具体例
・テーブル席で車椅子のまま食事がしたい→一時的に椅子を片付けて、車椅子が入れるスペースを作る
・入店前に食券を買うシステムだが、視覚障害で食券機の文字が読みにくい
→先に着席してもらい、同伴者とゆっくりメニューを選んでもらう
・配膳はセルフサービスだが、視覚または聴覚障害で呼び出しに気がつけない
→キッチンから近い席を案内し、配膳を手助けする
・注文で細かい希望を伝えることが難しい
→麺の硬さ/味の濃さ/薬味の量/辛さの程度、など項目分けした筆談ボードを用意する
合理的配慮とはあくまで、障害のある人でも、障害のない人と変わらないサービスが受けられるようにするための配慮です。飲食店で食事を提供するという本来の業務から逸脱したり、特別扱いになったりする要望をお断りしても、合理的配慮の提供義務には反しません。また、店側に過度な負担がかかる場合には、お客さまへ説明し代替案を考えることが大切です。
■合理的配慮の提供義務に反しない例
・食事介助を行ってほしい→食事介助を事業の一環として行っていない場合は、本来の業務に付随するサービスではないため、お断りしても義務違反にはあたりません。
・「先着10名限定」の品をとっておいてほしい
→先着順は障害の有無にかかわらず同等の機会提供です。障害のある方を優先的にご案内するのは特別扱いになるため、お断りしても義務違反にはあたりません。
・ビュッフェスタイルのレストランで、ピークタイムに何度か店内を付き添って盛り付けを手伝ってほしい
→混雑時に従業員一人分の労働力を割かれるため、過重な負担だと判断できます。席で要望を伺い、従業員が盛り付けをして配膳をするなど、負担にならない範囲で対応できることを提案しましょう。
大切なのはお客さまとのコミュニケーション
障害者差別解消法が改正されるこのタイミングは、接客のあり方を見直すいい機会です。接客担当の従業員とともに、ぜひ意見を出し合ってみてくださいね。
改正障害者差別解消法 よくある質問
2024年4月の法改正で、飲食店の対応はどう変わるのですか?
これまで努力義務だった、障害のある方への「合理的配慮の提供」が、事業者に対して法的に義務化されます。これにより、障害のある方から手助けなどの申し出があった際に、負担が重すぎない範囲で対応することが必須となります。
「合理的配慮」とは、具体的にどのような対応を指しますか?
例えば、「車椅子のまま食事ができるようテーブルの椅子を一時的に片付ける」「食券機の操作が難しいお客様に席で注文を聞く」「筆談ボードを用意して注文の希望を伺う」といった、障害のないお客様と同じようにサービスを受けるための手助けを指します。
お客様の要望すべてに応えなければいけないのでしょうか?
いいえ、そうではありません。お店の本来の業務から外れる「食事の介助」や、他のお客様との公平性を欠く「限定メニューの取り置き」のような特別扱いは、断っても義務違反にはなりません。
要望への対応がお店の「過重な負担」になる場合はどうすれば良いですか?
例えば「混雑時にスタッフ一人が付きっきりでビュッフェの料理を取る」といった要望は、過重な負担と判断できます。その場合は、なぜ難しいのかを丁寧に説明し、「お席でご注文を伺い、こちらで盛り付けます」といった代替案を提案し、お客様と一緒に解決策を探すことが大切です。
「不当な差別的取扱い」とは、どんなことですか?
障害があることだけを理由に、サービスの提供を断ったり、不利な条件をつけたりすることです。例えば「介護者がいない障害者の入店を一律で断る」といった対応は、正当な理由がない限り、不当な差別的取扱いにあたり禁止されています。
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