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2023-05-30 09:54:52.0

配膳ロボットをお客様はどう感じる?導入に向いている店舗とは

最先端ロボットの導入・活用を支援する株式会社DFA Roboticsが行った『配膳ロボットに関する消費者の意識』調査。今回の記事では、配膳ロボットを導入するメリットや、調査から見えてきた「配膳ロボットと相性がいい店舗・悪い店舗」の傾向について解説します。
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配膳ロボット導入のメリット

配膳ロボットとは、主に飲食店での接客を想定して作られたロボットです。客席まで移動して料理の配膳をするのはもちろん、席までお客様を案内するロボットもいます。

導入によって、飲食店は人件費を削減できます。一人で複数のロボットを遠隔操作すれば、いっそう生産性を高めることができるでしょう。また、人間のスタッフの場合は接客スキルや知識にばらつきがありますが、ロボットなら一定の質が保たれます。

そのほか「スタッフから声を掛けられるのが苦手」「オーダーの際に声を掛けづらい」と感じるお客様も、ロボット相手なら気兼ねなく接することができ、顧客満足度が向上する可能性があります。顧客情報を蓄積する機能が搭載されたロボットを使えば、サービス向上に活かすこともできるでしょう。さらに、多言語に対応したロボットならインバウンド需要に応えることも可能です。

お客様の約45%は配膳ロボットに抵抗感示さず

『配膳ロボットに関する消費者の意識』は、「月に1回以上、単価7,000円以上の飲食店へ行く方」を対象として実施した調査です。Z世代(18~26歳以下)、X・Y世代(27~58歳)、シニア世代(60歳以上)、それぞれ111名(合計333名)にアンケートをとりました。

「単価7,000~8,000円以上の飲食店で、配膳ロボットによる接客を受けた際、抵抗を感じるか」との質問には、「まったく抵抗がない(18.6%)」「あまり抵抗がない(26.4%)」と、全体の45%が抵抗を感じていないという結果に。世代別の割合に大きな差はありませんでした。

一方、「人による対面接客よりも、配膳ロボットによる非対面接客のほうが良い」と答えた方の割合は、全体で38.6%。Z世代とX・Y世代がともに約45%だったのに対し、シニア世代では29.1%とやや低い割合となっています。

つまり、世代にかかわらず半数近くの人が配膳ロボットによる接客に抵抗を持たない一方、シニア世代の多くは「人による接客よりも配膳ロボットの方が良いとまでは言えない」と考えているということ。半数近くが「人による接客よりも配膳ロボットの方が良い」と考えているZ世代とX・Y世代とは対照的で、配膳ロボットに抱くイメージの世代間格差が見てとれます。

配膳ロボットはどんな店舗に合っている?

「どんなシチュエーションなら配膳ロボットでの接客に抵抗を感じないか」という質問に対しては、「配膳ロボットがお店の雰囲気に合っている場合」という回答が多く、全体では最多(42.1%)でした。Z世代、シニア世代でも同回答が1位でしたが、X・Y世代の1位は「人による対面接客の部分の質が高い場合(50.0%)」となっていました。

また「抵抗を感じない理由」として多かったのは、「円滑な店舗運営のために、必要だと思うから(全体48.1%)」。全ての世代で最も多い回答となりました。

こうした結果から、配膳ロボットの導入が向いているのは「ロボットが店舗の雰囲気に合っており、円滑な店舗運営に役立っているとお客様が感じる場合」とわかります。伝統を重んじる、またはフォーマルな店舗よりも、どちらかといえばカジュアルで実験的な雰囲気を楽しめる店舗と相性がいいのではないでしょうか。

同調査では、配膳ロボットに対し「近未来的でワクワクする」「食事の際の話題になる」との回答も寄せられており、ロボットが珍しいと感じる人がまだまだ多いことがわかります。子どもにも喜ばれるため、家族連れのお客様が多い店舗にも向いていると言えそうです。

ただし、ロボットに配膳を任せている店舗であっても、あくまでお客様は「人による接客の質が高い」「店員の目が行き届いている」ことを前提条件と捉えています。配膳ロボットを導入する場合は、同時にスタッフによるホスピタリティも充実させましょう。

配膳ロボットの導入には向かない店舗

では、配膳ロボットの接客に抵抗がある人は、どのような理由でそう感じているのでしょうか。調査で最も多かった回答は「なんとなく味気ない気がするから(全体50.8%)」。全ての世代で最多となっており、特にシニア世代は、全体平均よりやや多い58.9%がこのように回答しました。

そのほか「人と人とのコミュニケーションが減るから(全体41.8%)」「比較的高いお金を払っているから(全体41.2%)」なども多い結果に。特に、前者はシニア世代で、後者はX・Y世代で多くなっていました。

こうした回答から、スタッフによる対面での接客を重視しているお客様も少なくないことがわかります。普段からスタッフとお客様のコミュニケーションが活発な店舗は、配膳ロボットの導入には慎重になるべきかもしれません。また、「料理だけでなく接客にも対価を支払っている」と考えているお客様は多いよう。おもてなしが売りの店舗には、配膳ロボットの導入は適していないでしょう。
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人だからこそできるサービス

配膳ロボットは、料理を指定の場所へ運ぶといったプログラムされた動作を正確に実行するのが得意です。しかし「水をこぼしたお客様の席に拭くものを持って行く」「水を飲み終わったお客様におかわりが必要か訊ねる」といった「気づき」が必要なおもてなしはできません。

また、配膳時の簡単な声掛けなどはロボットにも可能ですが、「お客様と会話を弾ませる」「さまざまな質問に臨機応変に答える」などは、現時点では人間にしかできないサービスです。お客様の心をつかみ、感動させる「気づかい」は、人間による接客だからこそできること。配膳ロボットの導入を検討する際は、メリット・デメリットについて知ったうえで、自店のスタイルとの相性をよく考えてみましょう。