高級食パンが全国を席巻! 空前のパンブーム到来でパン職人の需要大!?
日本の国民食はもはや米ではなくパン?
2011年、日本の食文化において衝撃的なニュースがありました。一世帯当たりのパンに対する支出額が、米に対する支出額を上回ったのです。その金額は、米が2万7,428円、パンが2万8,318円というもの。翌年には米が盛り返しパンを上回りますが、パンに対する支出額は右肩上がりで、2014年以降は再度パンの支出額が米を上回る状況が続いています。
パンの人気ぶりは、イベントに注目しても一目瞭然です。横浜赤レンガで行われた「パンのフェス2018秋」は、雨模様だったにもかかわらず、開演3時間前から行列ができ、3日間で13万人という集客を記録しています。その他にも「世田谷パン祭」や「青山パン祭」など、もはやパンのフェス自体は珍しいものではなくなってきています。
人気の高級食パン屋と売れるワケ
パンの中でも、最近は特に「高級食パン」が大ブーム。忙しい時にワンハンドで食べやすい、携帯しやすいといった一般的なパンが人気を得る理由に加え、素材や食感にもこだわって作られた柔らかく食べやすい高級食パンは、高品質なものを求める高齢者に受けがよく、年々需要が拡大しています。
この高級食パンブームのきっかけと言われているのが、セブンイレブンの「金の食パン」です。「金の食パン」は販売されてから半年で、約2500万食という驚異的な売り上げを記録。また、『乃が美』に代表される高級食パン店が続々と誕生し、消費者の選択肢に広がりを見せたことで、一気にブームが過熱しました。
今や高級食パンは戦国時代を向かえ、東西あらゆる場所でブランドが生まれています。今や高級食パンの代名詞ともいえる『乃が美』は、生食パン発祥の店と言われています。オリジナルブレンドの小麦粉が使われており、耳までやわらかくトーストせずに生で食べるため「生食パン」と名付けられました。
『焼きたて食パン専門店 一本堂』は、かつて日本人の生活にお米が当たり前のようにあったように、町中で焼き立てのおいしい食パンがいつでも購入できるようにしたい、という思いでオープン。プレーンな味以外にも、カフェオレやチーズ味などを展開しています。
『Panya芦屋』は厳選した小麦粉をブレンドし、完全無添加の最上級食パンを作り上げました。また、小麦粉に注目するパン屋が多い中、『銀座に志かわ』では水にこだわり、ミネラルバランスのとれたアルカリイオン水を使っているのが特徴。銀座の『CENTRE THE BAKERY(セントル ザ・ベーカリー)』は、商品が「角食パン」「プルマン」「イギリスパン」の3種のみながら、連日長い行列ができています。
クオリティはもちろん、店名にインパクトがあるお店が多いのも、高級食パンブランドの特徴。『考えた人すごいわ』『うん間違いないっ!』『午後の食パン』『これ半端ないって!』などは、一度聞いたら忘れられないでしょう。
こうして高級食パンを売りにする各ブランドがしのぎを削る中で、クオリティが向上し、さらに消費者を魅了するという正のスパイラルが起きていることも、昨今の高級食パンブームの理由の一つでしょう。
高まるパン職人の需要
こうしたパンブームの波を受けて、今、ブランジェの需要が高まっています。ブランジェとして一人前になるには知識や経験が必要ですが、その学びの形はさまざまです。王道と言えるのが、製菓専門学校や調理専門学校の製パンコース。2年間でパンの焼き方はもちろん、栄養学についてなど幅広い知識を得られます。
専門学校には高校を卒業した10代の学生が多いですが、近ごろは社会人として働きながらスクールに通うというケースも増えています。週に1~2日学校へ通い、1年弱で卒業するコースがあります。さらに、趣味としてパン教室に通い始めたことをきっかけに、ブランジェの道を歩み始めるというパターンもあるようです。
パン業界での就職活動を有利に進めるためには、パンに関する知識や技術があることを証明する資格をとっておくとよいでしょう。なかでも「パン製造技能士」はパンの製造に関する唯一の国家資格。パン製造そのものはもちろん、食品衛生や食品に関係する法律などの学科試験も課せられます。2級・1級・特級があり、受験資格として、それぞれ決められた年数の実務経験が必要となります。
その他の民間資格としては、「パンアドバイザー」「パンコーディネーター」「パンシェルジュ」「パンマイスター」などが例として挙げられるように、パン業界には多種多様な資格があります。
こうしたパン職人たちが活躍するパン業界は、市場規模も労働者数も右肩上がりとなっています。パンブームによってブランジェの需要はますます高まり、高い月給を提示する求人情報も増えています。パン業界は今後ますます大きな市場に発展していくことでしょう。
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