料理人も自己学習の時代? 野菜の知識・技術をさらに磨く3つの方法
ここ数年、野菜を主役にした飲食店が急増中です。最近も西麻布に『gina(ジーナ)』という新店がオープンし話題を呼びました。この店舗では、有機野菜を主役にヘルシーなフランス料理を提供しているのですが、深夜3時まで営業するというユニークな業務形態が受け、夜遊び好きだけど健康には気をつけたいという“大人グルマン”から大変な注目を集めています。
また、オーガニックケアブランドとして大人気の『john masters organics(ジョンマスターオーガニック)』の表参道店では、野菜のおいしさをたっぷり味わえるオーガニックスープの販売を開始。野菜の食感を生かした優しい味わいのスープは、表参道の買い物客から絶大な支持を得ているようです。
野菜料理を主役にした飲食店やサービスに注目が集まっている理由は、健康志向の人が増加していること、そして有機・無農薬野菜が支持されるようになったことなどが挙げられます。料理人がこの世の中の流れに乗っていくためには、野菜に対する知識・技術をしっかりと身につけていく必要があると言えそうですね。
より深い知識・技術を身につけるための3つの自己学習
料理人が野菜に関する知識・技術を身につけるためにはどうすればいいのか? ほぼすべての飲食店で野菜を扱いますし、厨房業務に携わっていればある程度の知識・技術は身につきます。しかし、時代に即した料理人になるためには、自分なりの研鑽を積み、より深い知識・技術を得る必要があります。そこでここでは、どのように自己学習すれば良いか、その例をいくつかご紹介していきます。
味に定評のある飲食店の多くが、扱う野菜には大変なこだわりを持っています。恵比寿『キュイジーヌ フランセーズ エミュ』は能登島の赤土野菜、そして代官山『リストランテ カノビアーノ』は京野菜といった具合に、それぞれの店舗が理想に合う野菜を選び抜いたうえで使用しています。
この理想にたどり着くためには、まずは野菜に対する深い知識を得なければいけません。たとえば京野菜なら水気が少なく、味わいが濃厚だという特徴があります。それには、都として栄えていた時代に、公卿や貴族をもてなすための高級野菜の栽培が盛んに行われていたという背景があるのですが、このように味の特徴だけでなく、その背景まで知ることができれば、野菜を学ぶことの楽しさがさらに広がることでしょう。
また、調理法について自己学習するなら、他店舗に足を運んで学ぶのもひとつの方法です。たとえば野菜料理に強いこだわりを持つ銀座『六雁』。この店舗には「野菜のふき寄せ」というメニューがあるのですが、これがちょっとスゴいんです。一見すると、長細く切られた野菜が一皿にまとめられた料理。しかしその調理法はさまざまで、さつまいもは揚げる、ごぼうは炒めるといった具合に、それぞれの野菜が一番美味しく食べられる調理法を施したうえで一皿にまとめているのです。野菜の数は15種類。途方もない労力をかけながら最高の一皿に仕上げるのは、ゲストを喜ばせたい気持ち、そして野菜や生産者に対する敬意の気持ちがあるからでしょう。
最後におすすめしたいのが生産者のもとに足を運ぶこと。実際に生産されている様子を見ること、そして生産者に触れ合うことは、野菜に対する接し方を変える大きなきっかけになります。
広尾の人気イタリア料理店『リストランテ アクアパッツァ』を率いる日髙良実氏は、あるインタビューでこのようなコメントを残しています。
「生産者の顔が見える食材は味に個性がある。そうした食材を使用することで、料理はさらなる高みに昇るのです」
もともとイタリア料理には“地産地消”の精神が宿っているのですが、日髙氏はその考えの通り、日本中をくまなく巡り、生産者と接しながら使用する野菜を選びます。選ぶのは生産者の顔が思い浮かぶ個性豊かな野菜たち。その魅力を生かすために、過度な味つけはせずに、素材をダイレトに生かすための調理法を選択する。生産者と触れ合うことは、調理法にまで強い影響を与えているようです。
もちろん自分自身が働く店舗で学ぶことが、最も実践的ですし、腕の向上に繋がりやすいのも事実。しかしより高みを目指すなら、上で挙げたような個人学習を試してみるのもいいかもしれません。
さて、今回は野菜の知識・技術が身につくための学習方法をご紹介しました。求人@飲食店.COMでは、 野菜の知識が身につく飲食店の求人をたくさんご紹介しています。ぜひご覧ください!