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2023-04-14 10:47:08.0

飲食店ができる食品ロス対策。料理や食材を無駄にしないために

2022年に行われた環境省と農林水産省の発表によると、2020年の日本の可食部の食品ロス量(令和2年度推計値)は、約522万トンにも及ぶことがわかりました。食品関連事業者のロスは275万トンで、そのうち外食産業のロスは食品関連事業者全体の29%となる81万トンにもなりました。飲食店で食品ロスが多くなると、食べ物を無駄にして環境に負荷をかけてしまうだけでなく、無駄なコストがかかってしまいます。飲食店が食品ロスを減らすには、どのような取り組みを行うべきなのでしょうか。
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適切な量の食材を仕入れる

仕入れの量は、曜日やピンポイントの天気、店舗や周辺地域でのイベント、来客データなどを総合して考えることが大切です。過不足を出さないためには一度に大量に仕入れるのではなく、こまめに発注しましょう。

近隣に系列店があれば、食材の過不足情報を共有して補い合うのも得策です。自店で使いきれない大きい食材を仕入れる際は他店とシェアする、カット野菜を仕入れて余りが出るのを防ぐという店舗もあります。

食材を余すことなく使えるよう、メニュー構成を定期的に見直すことも重要です。食材の廃棄した量や理由、無駄になった仕入れや仕込みは常に記録しておき、料理の量や調理法を再考する際の参考にしてください。

食材を使い切れるよう工夫する

消費期限が短い食材や余った食材は、使う量ごとに小分けにして、真空包装や冷凍で長期保存しましょう。下処理してから冷凍すると劣化を軽減できます。

食材の消費期限は定期的にチェックし、期限が早いものから使い切りましょう。余りが出ないように数量限定のメニューを導入している、廃棄を減らすために食材を直接販売しているといった店舗などもあるので、参考にしてみてください。ただし、仕入れた食品を売る場合は、保健所の営業許可が必要なのでご注意を。野菜くずなどの不可食部は、堆肥にリサイクルするのもおすすめです。

食べ切れる量を提供する

廃棄ロスを減らすには、お客様に料理を食べきってもらえるよう工夫することも重要です。実際の料理の量が具体的に伝わるよう、料理写真や食品サンプルなどを用意するのもおすすめです。

少なめ・普通・大盛りなどお客様が自分で量を選べるようにするのも、食べ残しを減らすのに役立ちます。性別や年齢層に応じた調理法や味付けにする、一人分の個別盛りにする、大皿の場合はスタッフが取り分けるなども有効な手段です。

オーダー数が少ない、食べ残しが多いメニューは廃止を検討しましょう。閉店時間が近づいたら、残った料理を食べ切ってもらえるようお客様にお願いしたり、ポスターや卓上POPで「食べ切れる量を注文する」「残さず食べる」ことを促したりするのも一つの方法です。

また、料理が完成したあと時間が経ってから提供すると味や風味が落ちるため、お客様の食欲がそそられないこともあるかもしれません。コース料理も出来立ての一番おいしい状態で提供できるようにし、お客様においしく食べてもらえるよう工夫しましょう。

食べ切ることへのインセンティブを用意する

「完食できたらポイントを付与」「クーポンを配布」といったように、お客様が完食することにメリットを感じられるキャンペーンを行うのもおすすめです。消費期限が近づいた食品やラストオーダー間際の注文には割引する、クーポンを配布するといった工夫をすれば、さらに売り切りやすくなります。

また、お子様には「完食できた記念」としてプレゼントを渡すのもいいですね。食べ切ることやお店に訪れることが楽しく感じられ、来店の動機にもつながります。

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余った料理をお持ち帰りできるようにする

お客様が料理を食べ切れないときのために、お持ち帰り用のパックを用意しておきましょう。食中毒のリスクを軽減するために、製造の日時を記載したシールや抗菌シートも準備してください。

お渡しする際は「お客様の自己責任でお持ち帰りいただく」という姿勢をはっきりと示しておくと、万が一のトラブルも防ぎやすくなります。お持ち帰りの容器を繰り返し使えるものにし、お客様が返却してくれた際に割引やポイント付与をする仕組みを導入すれば、容器の無駄をなくすこともできます。

環境省の公式サイトでも、食べ残しのお持ち帰りを促進するポスター・POPステッカーの申請を受け付けています。ぜひ活用してはいかがでしょうか。
https://www.env.go.jp/recycle/food/motteco.html

「食品リサイクル法の基本方針」では、「外食産業では食品ロス量を2000年と比較し2030年までに50%まで削減する」という目標が掲げられています。食品リサイクル法とは、食品の廃棄削減や再生利用を促進する法律のこと。食品廃棄量などの規定に反した事業者には勧告・公表・命令が行われ、違反すると50万円以下の罰金となるためご注意ください。店舗の利益アップのためだけでなく、社会問題や地球環境を改善していくためにも、食品ロスを削減できるよう努力していきましょう。