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2015/3/31

“オーガニックフード=美味しい”は間違い? 消費者のホンネとは!?

YouTubeに投稿されたちょっとしたイタズラ動画が最近話題となっています。再生回数はすでに500万回を数え、コメント欄には世界中から意見が寄せられています。動画の内容を少しご紹介しましょう。

主役はオランダ人の若者二人。舞台は、オーガニックフードを発表する大型フェアの会場です。主人公である二人は出展者として参加しているのですが、来場者のために用意した食事は、なんとマクドナルドの商品でした。

オーガニックフードの専門家に、マクドナルドを食べさせるどどうなる?

オーガニックフードとは対極にあり、ジャンクフードの王様とも言われるマクドナルドのハンバーガー。それを分解し、具材ごとにつまようじを刺す。これを“最新のオーガニックフード”と称して、来場者たちへ次々と試食を勧めます。
実際に食べた人の反応がこちらです。

「舌の上でまったりととろける」
「口の中に真心を感じる。複雑な味わいが楽しめるよ」
「オーガニックは本当に味をよくするよね」


驚くことに絶賛コメントの嵐。しかも彼らのなかには、オーガニックフードを職業にしているエキスパートも含まれています。まさかマクドナルドを食べさせられるとは思いもよらなかったのでしょうが、見破る気配もなく、それらしいコメントを自信満々で語る姿は、世界中のオーガニックフードファンに衝撃を与えたことでしょう。

そもそもオーガニックフードは美味しいの?

この動画でも問題提起されていますが、そもそもオーガニックフードはほかの食べ物よりも美味しいのでしょうか? 今回はその疑問について調べてみます。

日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会のホームページでは、オーガニックフードの美味しさについて以下のように述べています。

「オーガニック食品の購入動機に関する消費者調査では、『美味しいから』というのが多い。また、学校給食の分野では、野菜嫌いの子供がオーガニックなら喜んで食べるという例が数多く報告されています。よって、一般論としては『オーガニック食品は美味しい』と言えるでしょうが、個々のケースで必ず美味しいかというと、それはなかなか断言し辛いですね」


オーガニックフードの普及を目指す団体だけに、その味について絶賛しているかと思いきや、『美味しいとは断言できない』という慎重な答え。味覚は個人の好みが色濃く出るだけに、味の良さを断定的に謳うのは難しいのかもしれません。

それでは、実際にオーガニックフードを食べている消費者の声はいかがでしょう? Twitterから消費者の声を集めてみました。

「オーガニックな野菜や果物は、味が違いましたね。濃くて美味しい!」
「一般的な野菜と比較しても、その違いがわかるほど甘くてみずみずしさがあります。 野菜が本来の濃い味わいをもっているので、生で食べてもとっても美味しく感じられると思います」
「無添加やオーガニックのものは舌に残る後味もスッキリしてるし、質の違いもわかると思います」


こんな肯定的な意見もありつつ、

「オーガニックのものは身体にいいから食べなきゃと思うけど美味しくないからなかなか無理」
「田舎の兼業農家で育った身からすれば『オーガニック』がすべて美味しいなんてのは錯覚だと思う。これだけ各種野菜や果物の品種改良がなされてると、その品種に合った栽培方法で育てるのが一番間違いないのよね」


といった意見も。“オーガニックフード=美味しい”という結果に結びつけるのは、なかなか難しいようです。

味や安全性だけではない、オーガニックフードの魅力とは?

しかしひとつ確かなことは、オーガニックフードに使用される食材は、育てるのに手間が掛かっているということ。農薬を使用しないことで、病害虫や雑草が多く発生しますから、それを丁寧に摘み取る根気が必要なはずで、それでも無農薬にこだわって栽培している農家は、その栽培方法に懸ける熱い想いがあるのでしょう。

オーガニック食材を積極的に用いることでも知られる恵比寿の一ツ星レストラン『アーリア・ディ・タクボ』。そのオーナーシェフである田窪大祐氏は、オーガニック食材の使用についてこのように語っています。雑誌で紹介されていたコメントを要約してご紹介しましょう。

「私が有機野菜を使用するのは、味や鮮度が良いのはもちろんですが、農家の方に大切に扱われているのが実感できるから。それは食材の包装ひとつとっても伝わってきます。この愛情が詰まった食材と真摯に向き合うためにも、メニュー表に生産者の名前を記載しているのです」


有機栽培に限らずどのような栽培方法でも、その食材には生産者の愛情が詰まっています。しかしオーガニック食材に関しては、栽培の苦労が多い分、その愛情の深度はさらに深いと想像できます。この愛情の深さこそがオーガニック食材の特徴であり、味や安全性にも勝る大きな魅力なのかもしれません。