いちご勢力図に変化の兆し? 2025年のいちご市場を振り返る
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高級ブランドいちご「あまおう」の近況
また、これまで「あまおう」は育成者権により、福岡県でのみ栽培が認められていたため付加価値が保たれてきましたが、2025年1月に育成者権が失効。「あまおう」というブランド名は商標登録で守られていますし、県とJAでさまざまな対策をとっていますが、事実上、他県でも同じ苗で生産が可能になりました。別ブランドとして、同じ品種が出回ることが懸念されています。加えて生産者の高齢化と栽培面積の減少も課題となっており、他県で新ブランドが次々登場している中、「あまおう」の地位維持には新技術導入や新規就農者の育成などが急務とされています。
「とちおとめ」で知られる栃木県は収量UPで市場拡大
主力ブランドとして「とちおとめ」が有名ですが、近年は、生産効率がよい、大玉、長距離輸送に強いといった特長を持つ新品種「とちあいか」の栽培面積を増やしており、関西市場をはじめ県外への安定供給を実現しています。さらに販路拡大にも注力した結果、販売額は2025年産シーズンも過去最高を更新しました。
埼玉県の新品種「あまりん」が全国いちご選手権で最高金賞
2000年頃から観光農園や直売所のいちご農園が増えた埼玉県では、「観光農園のメインに位置づけられる、埼玉のオリジナル品種がほしい」との生産者の要望を受け、埼玉県農業技術センターで新品種の開発に着手しました。8年かけて約500通りの交配を行い、試行錯誤の末に「あまりん」が誕生。販売店では即座に完売するほどの人気です。また、次世代品種「べにたま」も登場し、今後の展開にも期待が寄せられています。
いちご市場では近年、「とちおとめ」の手ごろさと「とちあいか」の安定供給力、さらに「あまおう」の高級イメージといった三者が競い合っていましたが、この勢力図に変化が起きるかもしれません。
いちごの価格は上昇傾向
日本産いちごの輸出が進む
飲食店が利益を増やすには、利益率を上げるために原価率を下げることが欠かせません。いちごをはじめ、果物の仕入れ先は複数確保しておくのがおすすめ。季節感あるメニューを積極的に取り入れ、お客さまに楽しんでいただきましょう。
2025年いちご市場の動向 よくある質問
2025年のいちご市場で、特に注目すべき変化は何でしたか?
これまで高級ブランドとして知られた福岡の「あまおう」の供給が不安定になる一方、栃木の新品種「とちあいか」が安定供給でシェアを伸ばし、さらに埼玉の新品種「あまりん」が全国いちご選手権で最高金賞を受賞し、人気が急上昇した点が大きな変化です。
高級いちご「あまおう」が、今後どうなると懸念されていますか?
2025年1月に育成者権(品種を守る権利)が失効したため、福岡県以外でも同じ品種の栽培が可能になりました。「あまおう」という名前は使えませんが、同じ品質のいちごが別ブランドで安く出回る可能性があり、ブランド価値の維持が課題とされています。
最近、特に注目を集めている新品種は何ですか?
埼玉県の「あまりん」です。全国いちご選手権で3年連続最高金賞を受賞した品種で、糖度が20度前後と非常に高く、濃厚な甘みが特徴です。人気が高く、販売店では即完売することもあります。
いちごの価格が高騰しているのはなぜですか?来年も続きますか?
2023年の猛暑などの天候不順による収穫量の減少、輸送コストの上昇、人手不足などが主な原因です。これらの要因から、価格はすぐには下がりにくいと見られており、来年度も高値が続くと予想されています。
飲食店として、いちごの仕入れで気をつけるべきことは何ですか?
価格高騰や供給不安定のリスクに備え、特定の産地や品種に頼るのではなく、複数の仕入れ先を確保しておくことが重要です。また、各産地の新品種開発や輸出動向にも注目し、お店のメニューに合ったいちごを安定的に仕入れられる体制を整えましょう。
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若松真美
ライター
神奈川県在住ライター。女性向けライフスタイル、インバウンド、国内旅行、食などの分野で執筆や編集を経験。週末は東京下町や鎌倉などで飲み歩く。特に和食とエスニックが好き。
