洋食の調理人に求められるスキルとは? 奥深き「洋食」の魅力に迫る
では、どのようにして日本独自の食文化である「洋食」が誕生したのでしょう。今回は、洋食の歴史や老舗洋食店、さらには洋食調理に必要なスキルなどから、奥深い洋食の世界を紐解いていきます。
日本における洋食の歴史
そもそも洋食のルーツである西洋料理店が日本で初めて誕生したのは、文久3年(江戸時代)のこと。草野丈吉が長崎にオープンした『良林亭』が、日本初の西洋料理店と言われています。
後に『自遊亭』、その後『自由亭』と改称し、店舗も移転。お店自体はすでに閉業していますが、移転後の建物は長崎市のグラバー園内に移築され、現在は喫茶室として活用されています。『自由亭』は、今の金額に換算すると1人1万3千円という高価格帯のお店でしたが、地元の高官などが訪れ、賑わっていたそうです。
明治になると肉食が解禁され、庶民の食生活にも大きな変化が訪れます。この時に富裕層向けに洋食店がオープンするなど、時代の変化に合わせ西洋料理も大衆化を遂げていきました。そんななかで西洋料理を日本人の口に合うように工夫した、「洋食」という日本独自の食文化が広がっていったのです。
今なお愛され続ける、老舗洋食店
現在ある洋食店のなかには、いわゆる「老舗」と呼ばれる洋食店も多くあります。洋食の歴史を語る上では欠かせない老舗洋食店のメニューは、洋食に携わる人ならば一度は食しておきたいですね。老舗洋食店を名物料理とともに見ていきましょう。
■上野精養軒
『上野精養軒』の前身である『精養軒』がオープンしたのは明治5年。その4年後に上野公園の開設とともに『上野精養軒』が誕生しました。『上野精養軒』は洋食料理の先駆けとも言える存在で、フランス料理と洋食を提供しています。現在でも「ビーフシチュー」や「ハヤシライス」をはじめ、伝統ある味わいを楽しむことができます。■たいめいけん
昭和6年に創業した老舗洋食店。洋食料理の代表格とも言える「オムライス」が看板料理として知られています。公式ホームページには、オムライスのレシピが掲載されており、老舗の味を再現できるようになっています。■煉瓦亭
明治28年にフランス料理店として創業した『煉瓦亭』。この店は今では家庭料理としても一般的な「オムライス」や「カツレツ」を生み出したと言われています。お皿にご飯をのせるといった今では当たり前のことも、この『煉瓦亭』が始めたとか。洋食の歴史を語る上では欠かせない、老舗店のひとつと言えるでしょう。洋食調理に必要な技術とは?
まずは料理に合わせた食材の選び方、西洋包丁の特徴や基本的な扱い方を学び、さまざまな野菜の下処理や切り方の工程を覚える必要があります。そして、基本となるブイヨン(洋風だし)のとり方、スープの作り方、基本のソースの作り方を身につけ、肉や魚の基本的な下処理と加熱調理を学んでいきます。
その上で、エビフライならば「揚げ」、ビーフシチューならば「煮込み」、オムライスを作るフライパン捌きなど、各々のメニューに合った調理スキルを習得していきます。
また、これは何も洋食調理に限った話ではありませんが、絶妙なバランスの味わいを作る感性や客の食欲をそそる盛り付け方など、一人前として活躍するためには、単に料理を作る以外にもさまざまな技術の習得が求められます。
では、一人前の洋食料理人として活躍するための調理スキルはどのように習得すればよいのでしょうか。はじめから見習いとして老舗の洋食店などで修業をさせてもらう方法もありますし、調理師専門学校で料理の基礎を学んだのち、洋食店で修業を積むという方法もあります。先輩料理人の技を吸収しながら自分の腕を磨き、一人前の洋食料理人へと成長していきましょう。
まとめ:洋食業界は経験しておいて損はない
今回は日本における洋食の歴史から老舗洋食店について、洋食の調理技術についてみていきました。洋食の歴史や成り立ち、先人たちの取り組みが今日につながっているんですね。
洋食業界は幅広い調理技術を身に付けられるため、料理の基本を学ぶことができるだけでなく、一生をかけて携わることのできる“やりがい”もあります。洋食の基礎を身につけた後に、イタリアンやフレンチといった別ジャンルへチャレンジするのもよいでしょう。
洋食が好きという人はもちろん、料理の世界へ飛び込んでみたいという人も、ぜひ洋食業界からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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