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焼き鳥職人は「串打ち三年、焼き一生」。奥深き焼き鳥の魅力と職人の技術

Photo by iStock.com/LFO62
居酒屋の王道メニューのひとつである“焼き鳥”。一見すると鶏肉を串に刺し、焼くだけのシンプルな料理のように思えますが、実は知れば知るほど奥深い料理です。「串打ち三年、焼き一生」という言葉は、焼き鳥の技術は一生かけて習得する“職人技”であると語っており、焼き鳥の名店は一朝一夕で生まれるものでは決してないのです。
そこで、今回は、焼き鳥職人になるために必要な技術、焼き鳥の歴史や最新のトレンド事情など、奥深い焼き鳥の世界について詳しくご紹介します。焼き鳥業界に興味のあるという方は、ぜひ参考にしてください。

鶏肉は高級食材だった!? 焼き鳥の歴史とは?

江戸時代には、すでに串に肉を刺して食べる現在の焼き鳥スタイルができあがっていたようで、当時の料理本にもその作り方が掲載されています。明治の中ごろには焼き鳥屋も登場し、焼き鳥は徐々に人々に親しまれるようになりました。

今でこそ“焼き鳥=鶏肉”というイメージが大きいですが、昭和30年代にブロイラー(短期間で成長し、出荷される食用鶏)が導入されるまで、鶏肉は高級食材とされていたようです。それ故に、明治時代などでは雀や豚、馬などさまざまな種類の肉が焼き鳥の材料として使われていました。この名残で今でも豚を使った串焼きのことを「やきとり」と言います。

焼き鳥が大衆の食べ物として浸透したのは、戦後のこと。上述したブロイラーが日本に普及したことで、鶏肉が安価で手に入りやすくなりました。その結果、焼き鳥は広く人々に愛される食べ物となりました。
現在では、焼き鳥は日本のみならず、海外の観光客にも親しまれる日本料理となっています。

焼き鳥屋の多様化が進む! 最新トレンド事情

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安くて美味しい居酒屋メニューの定番である焼き鳥ですが、最近では鶏の種類などにこだわった高級志向のお店も登場。ひとえに焼き鳥店といってもお手頃価格のものから高級店まで幅広い種類があるのです。

■焼き鳥×ワインのお店が人気に

最近では焼き鳥とともにワインを楽しめるお店も人気です。
恵比寿『鳥幸WINE PAIRING』やミシュランのビブグルマンにも認定された三軒茶屋『床島』、ビストロと焼き鳥を見事に融合させた武蔵小山『シノリ』などは特に知られた存在。どのお店もソムリエがそれぞれの焼き鳥にピッタリのワインを厳選してくれるため、ビールと食べるのとはまたひと味もふた味も違った楽しみ方を発見できます。

■居酒屋チェーンも焼き鳥業界に参入

さらに最近では、さまざまな居酒屋チェーン店が焼き鳥業界に参入しています。
例えば、ワタミ株式会社は『三代目鳥メロ』を関東を中心に100店舗以上、株式会社モンテローザは『豊後高田どり酒場』を50店舗近く展開。『鳥貴族』のような格安焼き鳥居酒屋スタイルのお店も話題になっています。その他にも多くの居酒屋チェーン店が参入しており、今後焼き鳥業界はさらに活性化していくものと思われます。

焼き鳥職人は「串打ち三年、焼き一生」

業界が多様化しても、焼き鳥職人として必要な技術は変わりません。冒頭で述べたように「串打ち三年、焼き一生」と言われる、焼き鳥職人に必要な技術を見ていきましょう。

(1)焼き加減に関わる「串打ち」

一流の焼き鳥職人になるためには、焼く前の下準備として「肉を捌く技術」のほか、肉に串を刺す技術「串打ち」が必要となります。ただ肉に串を刺せばいいというわけではありません。串打ちには焼き上がりと見た目を良くするための技術が必要です。
まず、ふっくらと均一に焼き上げるため、肉の重量や厚さ、大きさのバランスを整えます。さらに、肉がくるくると回転しないよう、また焼き上がりに隙間ができないよう、肉の重心をとらえて繊維に垂直に刺していきます。部位ごとに特性を見極めて、焼きムラがなく、仕上がりが美しくなるように串を刺していくため、熟練の技が求められるのです。

(2)鶏肉の魅力を引き出す「焼き」

「焼き」は一生かけて習得する技術と言われています。「串打ち」を完璧に行っても「焼き」が上手くできないと、肉が硬くなってしまったり、焦がしてしまったりと、焼き鳥を一瞬で台無しにしてしまいます。皮はパリっと中はジューシーに、あるいはふっくら柔らかく焼き上げるのは、職人の長年の経験からできることなのです。
特に炭火を使っている店では、肉の状態を見極めながら火加減を調整しなくてはいけません。一流の焼き鳥職人は部位ごとに焼き方や火加減、焼き加減を見極め、鶏肉の味を最大限に引き立たせる味付けを施し、見た目も味も最高の状態でお客様にご提供しているのです。

焼き鳥職人になるには?

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では、焼き鳥職人になるにはどのような道があるのでしょうか。もっとも一般的なのは、焼き鳥を扱っている居酒屋などの飲食店で働くことでしょう。焼き鳥職人のもとで働きながら修業をするのが、実践的な技術を着実に身につける近道です。

最近では飲食人大学の「焼鳥マイスター専科」のように、2ヵ月で焼き鳥の技術を学べる学校も存在しています。鶏の捌き方や串打ち、焼き方など、短期間で焼き鳥の技術をトータルに学ぶことができるので、短い間で基礎的な知識を身に付けて仕事にしたいという方は検討してみるのもいいでしょう。

今回は奥深き焼き鳥の世界についてご紹介しました。職人になるための道、お店の種類は多様化しており、新規参入する飲食企業も増えています。一生かけて技術を磨いていきたいとお考えの方、以前からなんとなく興味があったという方は、この機会に焼き鳥の世界へ飛び込んでみてはいかがでしょうか?
求人@飲食店.COMでは、焼き鳥店の求人情報を多数掲載しています。 焼き鳥の求人一覧よりご覧ください。

焼き鳥の世界 よくある質問

Q.

焼き鳥の世界で「串打ち三年、焼き一生」とはどういう意味ですか?

A.

焼き鳥職人の技術習得の難しさと奥深さを表す言葉です。「串打ち(肉を串に刺す技術)」をマスターするのに3年、鶏肉の魅力を最大限に引き出す「焼き」の技術は一生をかけて磨き続ける必要がある、という意味が込められています。

Q.

なぜ「串打ち」だけで3年もかかると言われるのですか?

A.

均一に火が通り、ふっくらと仕上がるように、肉の重さ・厚さ・大きさを揃えて刺す必要があるからです。また、焼いている時に肉が回転しないよう、重心を捉えて繊維に垂直に刺すなど、見た目の美しさと最高の焼き加減を実現するための熟練の技が求められます。

Q.

焼き鳥で一番難しい「焼き」の技術とは何ですか?

A.

部位ごとに異なる肉の状態を見極め、炭火の火加減を常に調整しながら、最高の状態で提供する技術です。皮はパリッと、中はジューシーに、あるいはふっくらと柔らかく、といった食感を完璧にコントロールするには、長年の経験が必要とされます。

Q.

昔の焼き鳥は、鶏肉以外の肉も使っていたというのは本当ですか?

A.

はい、本当です。昭和30年代にブロイラーが普及するまで鶏肉は高級食材だったため、明治時代などには雀や豚、馬などの肉も使われていました。現在でも一部地域で豚肉の串焼きを「やきとり」と呼ぶのはその名残です。

Q.

焼き鳥職人になるには、どうすれば良いですか?

A.

最も一般的なのは、焼き鳥店で働きながら職人のもとで修業を積む方法です。実践を通じて着実に技術を学べます。近年では、短期間で鶏の捌き方から焼き方までを学べる「焼鳥マイスター専科」のような専門学校も存在します。


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