和食を美味しく見せる「盛り付け」のコツとは。器・色づかい…盛り付けは料理の一部!
料理の満足度を決定づける要素として「味」とともに「見た目」が重要であることはよく知られています。まったく同じ料理でも、盛り付けの良し悪しによって食べたときの満足感は大きく変わるもの。特に日本の伝統的な料理である和食は、盛り付けも「料理の一部」と考えられており、料理人には繊細な盛り付け技術が求められます。
今回は「和食の盛り付け」をテーマに、器の選び方から盛り付けの手法までをご紹介。これから料理人を目指す方はぜひ参考にしてみてください。
器が料理の見た目に与える影響
料理の盛り付けをするときにまず決めることになるのが、料理を乗せる器です。過去記事『美味しさの演出に欠かせない食器。料理人が身につけておくべき基礎知識とは?』では、使用する器によって料理の印象が変わることをご説明しましたが、特に和食においてはその影響を大きく受けるようです。では、器を選ぶ際のポイントとはどのようなものがあるのでしょう? 大きなポイントは「大きさ」と「色(柄)」の2つです。
■器の大きさ
飲食店で料理を注文したときに、使われている器を見て“大きいな”と思ったことはありませんか? じつは料理の盛り付けをする際にとても大切にされているのが「余白」なのです。盛り付けをするときは、器の大きさに対して乗せる料理の分量を控えめにし、大体3~6割以上の余白を空けるようにすると美しく見えるといわれています。また汁物をお椀に入れるときも、汁物の量をお椀の高さに対して6~7分目くらいまでにしておくと、見栄えが良くなります。■器の色(柄)
和食に使われる「和食器」の種類は、世界一とも呼べるほど多様です。白をメインとした単色のものが多い洋食器に対し、和食器には景色や日本の動植物の文様が描かれているものが多く、季節ごとに使用する文様を使い分けたりすることもあります。そのため和食を盛り付けるときに選べる器の選択肢は、洋食器の比ではありません。盛り付けの勉強をする際には、和食器の知識についても一緒に身に付けておくことが大事なのです。料理の盛り付けでは「五色」を配色しよう
和食の世界では「しょう、おう、しゃく、びゃく、こく」、つまり青(緑)、黄、赤、白、黒(茶)の五色が盛り付けにおける配色の基本色であるといわれており、「五色揚げ」「五色そば」「五色なます」といった5つの色の食材を使った伝統料理が数多く存在しています。
これら五色には以下のような視覚効果があり、料理の盛り付けをするときにバランス良く配置すると見た目にも美しくなるので、ぜひ試してみましょう。
・青(緑)……安心感
・黄・赤……食欲増進
・白……清潔感
・黒(茶)……引き締め
和食に多い盛り付けの種類とポイント
和食で使われる盛り付けの手法にはたくさんの種類がありますが、今回はその中から代表的な盛り付け方と、盛り付けるときのポイントをご紹介します。
■平盛り
平面的に料理を並べる盛り付け方で、お刺身の盛り合わせなどでよく使われます。たくさんの種類の料理を並べるほど綺麗になりますが、このときに「似た色の料理を隣同士にしない」「料理と料理の間にすき間を空けないようにする」といった点に気を付けるようにすると、より綺麗に見せることができます。■流し盛り
単品のお刺身や握り寿司などでよく使われる、料理を同じ向きに流れるように並べる盛り付け方です。流し盛りでは「左を正面にして右に傾けて並べる」という方法が基本とされていますが、これは人間の視線がまず左に注目し、そこから右へと流れることが大きな理由となっています。和食ではほとんどの料理で左が正面になっているはずですので、知らなかったという方は一度確認してみましょう。■放射盛り
放射盛りとは、正面を設定せずに上下左右が対象になるように料理を並べる盛り付け方で、握り寿司を桶に並べるときなどによく使われます。とても簡単でなおかつ綺麗に見せやすい盛り付け方なので、初心者向きであるといえるでしょう。求人@飲食店.COMでは、盛り付け技術を基礎から学べるお仕事を幅広く紹介しています。 盛り付け技術が身につく飲食店の求人一覧よりご覧ください。