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東京都は26円アップ!? 飲食店のスタッフが知っておきたい最低賃金引き上げのメリット
■平成29年度の最低賃金引き上げ額
厚生労働省の「平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について」によると、今年度の引き上げ額の目安は22円~26円となっています。特にAランクとされている埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪は26円アップとなり、一番高い東京で958円となります。
厚生労働省 都道府県ごとの最低賃金
厚生労働省 平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について
それでは、最低賃金の引き上げが飲食業界にどのような影響を与えるのでしょうか? 求職者の皆さまへの影響はもちろん、採用する飲食店側への影響は計り知れません。まずは飲食店側への影響から見ていきましょう。
飲食店(雇用側)への影響
飲食店にとって最低賃金が上がるということは、コストが増えて利益が減ることにつながる可能性があります。先ほど15年前と比べて東京の最低賃金は250円上がっているという話をしましたが、1日30時間アルバイトスタッフが労働している店舗で仮定すると、15年前に比べて1日で7,500円、1か月で約22万円、年間で約260万円のコストの増加(=利益の減少)になります。このコスト増加に対してどのような対策をとるかということを飲食店は考える必要があります。
例えば、飲食店はコストアップ分を価格の引き上げで補ったり、アルバイト1人あたりの勤務時間を減らして人件費の上昇を抑える必要があります。また、業務のIT化を推進することで人件費を抑えるという選択肢もあります。売上データをリアルタイムに確認できるPOSシステムを導入したり、食材や資材の在庫管理をパソコンやスマホで行い、発注業務もインターネットを使ってどこからでも行えるといったIT化により、少ない人数でも作業が行えるようにします。
ITの導入に当たっては、初期費用や従業員へのノウハウの周知徹底にコストや時間がかかりますが、今後さらに上昇するであろう人件費を抑えるという長期的視点で、この機に導入する飲食店が増えることが想定されます。なお、このようなIT化を推進するにあたり、政府が支援する助成金を使える場合もあります。
一方で、もともと飲食業は他の業種に比べて給与が低いケースが多かったのですが、最低賃金が上がることで他の業種の賃金との差が縮まることが考えられます。つまり、「飲食業に興味はあるけど、賃金が低いからやめておこう」と思っていた求職者を、飲食業で採用できるチャンスが広がったといえるかもしれません。
求職者のメリットおよび注意点とは
一方、求職者にとってのメリットは何でしょうか? 一番は最低賃金が上がることで、収入アップにつなることでしょう。同じ労働時間で手に入れることができる収入が増えますし、必要な収入をより少ない労働時間で手にすることができます。
また、最低賃金は「958円」「909円」など一見すると中途半端な数字に見えるため、求人募集の折には「960円」「910円」といったように結果的に最低賃金以上の賃金にする飲食店が少なくありません。また、なかなか人手不足を解消できないという飲食店の場合、最低賃金引き上げの機会に時給の見直しを図り、時給を1000円にするというケースもあります。
このように、最低賃金引き上げの機会に飲食店が大幅に時給や月給を見直すケースは近年増えています。転職を考えている方は、10月はより好条件の求人をみつけるチャンスといえるかもしれません。
一方、個人店などの一部の飲食店は、最低賃金が上がることで採用人数を絞り込む必要が出てきます。そのため採用基準が高くなり、特に人気店で働くのが難しいというケースも出てくるでしょう。自分の魅力をしっかり伝えて採用につなげられるよう、面接や書類記入などの対策をしっかりと行う必要があります。
また、採用人数が少ない分、採用された場合の1人あたりの仕事量が増える可能性もあります。こちらは仕事の幅が増えることで、能力・スキルも上がることにつながるので、ぜひ前向きに取り組んでください。先ほど飲食店のIT化の話をしましたが、IT化のスキル・ノウハウを身に付けることができる、活用できるということもメリットのひとつではないでしょうか。
いかがでしたか。今回は平成29年10月に実施予定の最低賃金引き上げが飲食業界に与える影響について考えてみました。飲食店側と求職者側それぞれにメリット・デメリットがありますが、あらゆる面で「変わる」ということを前向きにとらえていきたいものですね。
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