しょくヨミ!! 飲食店の正社員/アルバイト求人情報サイト [更新:12月3日 20:41]

  1. トップ
  2. しょくヨミ!!
  3. 飲食業界のキャリア・働き方
  4. インタビュー
  5. 『L’AS』の兼子大輔シェフに聞く、キャリア形成までの道のり

飲食店で働く人向けのWebマガジン しょくヨミ!!

2015/7/8

『L’AS』の兼子大輔シェフに聞く、キャリア形成までの道のり

『L’AS』、『CORK』でオーナーシェフを務める兼子大輔氏

ごくシンプルなインテリアに、大きなオープンキッチンがひときわ目をひく店内。『L’AS』は、正統派フレンチをベースに、独自のアプローチを追及するフランス料理店です。用意されたメニューは「おまかせコース」のみ。9品から10品を5,000円で提供し、内容は約3週間ごとに一新。その価格からは想像もできないほど、趣向を凝らしたメニューで東京中の美食家たちを虜にしています。

フランス料理界を牽引するスターシェフであると同時に、その経営手腕にも一目置かれている兼子氏。一体、どのようにして料理の技術やセンスを身につけてきたのか、これまでの経歴を伺いました。

軽い気持ちで飛び込んだ料理の世界

トリュフクリームを載せた人気メニュー「ショコラマルキース」

料理の世界を志したのは、高校3年生の頃。なにかきっかけがあったのかと思いきや、そういうわけではない様子。そのきっかけを聞いてみると、「料理の経験はゼロでした。学生時代、あまり勉強をしていなくて……。試験を受けなくていいという安易な理由で調理の専門学校に進学したんです」との答え。

大きな夢を抱くわけでもなく、なんとなく飛び込んだ料理の世界。しかし、すぐに転機が訪れます。専門学校に進学してから食事に行った大阪『ラ・べガス』の料理に衝撃を受け、アルバイトとして働くことになるのです。卒業後はそのまま就職し、大阪で最も人気を誇る名店のシェフ・渋谷圭紀氏のもとで学びました。

「人気も、料理も、圧倒的に他とは違うレストランでした。働き始めると、それまでの感覚が通用しないほどの“厳しさ”の洗礼を受けました。ここで“真剣にならないとまずい”と覚悟を決めたんです」


その後、6年の修業を経て、東京へ。

「大阪で一番のレストランで頑張ったという自負がありました。だから次は、日本一の美食の街、東京で頑張ってみたくなったんです」


東京、そして本場フランスで学んだこと

フランス修行時代の兼子氏

修行の場として選んだ店は、フレンチのカリスマ斉須政雄シェフが取り仕切る『コート・ドール』。斉須氏はフランスに12年滞在した経験を生かして、数々の伝説的なスペシェリテを作り出した人物。多くの著名人も愛するレストランです。兼子氏が修業先に選んだ理由は明快、「東京で一番のレストランだと思ったから」。斉須シェフの元で3年間、料理人としてのあり方を学んだそうです。

そして、本場フランスへと旅立つ決意をしました。何が彼をそうさせたのでしょうか?

「フランス料理を続ける以上は、フランスで学ぶべきだとシンプルに考えたんです。何を学べばいいのか具体的には見えていませんでしたが、だからこそ、行かなくてはならなかった。自分ひとりの努力で得られないものが、フランスにはあると思ったんです」


日本のレストランではクラシックな調理法を学んできた兼子氏。しかし、フランスでは、近代的な調理法を主流としているレストラン『サンドラス』に勤めたそうです。

「オーブンや蒸し器など、最先端のマシンをいくつも採用しているレストランでした。日本にいたときは、アナログな手法でやるべきだと考えていましたが、最先端機器を使う重要さ、便利さを学ぶことがでました」


使う人の技術や考え方さえしっかりしていれば、機器を使用することは悪いことではないと兼子氏は言います。むしろ、品質を落とさず、より多くのゲストを満足させることに繋がるのだそう。

シンプルに料理とワインを楽しんでもらう為に

日本で学んだ技術とフランスで触れた現代的な感覚が、兼子氏のシェフとしての基盤を作り上げてきました。その基盤を生かしつつ、フランス料理を手軽に楽しんでもらうための仕掛けを施していく。その結果、5,000円という驚きの価格で本格フレンチが楽しめるという『L’AS』のスタイルを作るに至ったのです。すべては、美味しい料理とワインをより多くのゲストに味わってもらうため。このシンプルな想いこそが、『L’AS』の根本を支えています。

『L’AS』 オーナーシェフ 兼子大輔氏

1979年生まれ、広島県出身。大阪『ラ・ベカス』で6年間修行を積んだのち上京。三田『コート・ドール』で経験を重ねる。06年に渡仏し、パリ『サンドラス』などで腕を磨く。帰国後は麻布十番『カラペティ バトゥバ!』のシェフとして2年間活躍し、その後、2012年にオーナーシェフとして『L’AS』をオープン。2014年にはイギリス『FOUR MAGAZINE』主催の「‘ライジングスター賞」を受賞。さらに「RED U-35」 でゴールドエッグを受賞する。

『L’AS』

住所/東京都港区南青山 4-16-3 南青山コトリビル1F
電話番号/080-3310-4058
営業時間/12:00〜L.O.1:00PM(土日祝のみ)/17:30〜L.O.22:30(月〜土)、17:30〜L.O.22:00PM(日曜祝日)
定休日/火曜を中心に月8回程度
席数/40
http://www.las-minamiaoyama.com/


求人@飲食店.COMでは、調理スタッフの求人情報を多数掲載しています。
「料理長候補」 「調理スタッフ」 「調理補助・見習い」の求人一覧よりご覧ください。


<関連記事>仕事人FILE Vol.01 『L’AS』オーナーシェフ・兼子大輔(食の情報メディア「Foodist」の記事へ)