しょくヨミ!! 飲食店の正社員/アルバイト求人情報サイト [更新:12月16日 09:35]

  1. トップ
  2. しょくヨミ!!
  3. 大手飲食への転職ガイド
  4. スキルアップ
  5. 憧れのイタリアンレストランで働く! 仕事内容から必要なスキル、成功へのキャリアプランを徹底解説
飲食店で働く人向けのWebマガジン しょくヨミ!!
初回公開日:

憧れのイタリアンレストランで働く! 仕事内容から必要なスキル、成功へのキャリアプランを徹底解説

目次


日本人にとってなじみの深い外国料理である「イタリア料理」。本記事では、飲食店従事者や飲食業界を志す人へ、多くの人を惹きつける奥深いイタリア料理店でのキャリアアップ・キャリアチェンジのための情報を徹底解説します。

この記事は、こんな人におすすめです。
・イタリア料理が好きで、作る仕事にも興味がある方
・今の職場で技術が頭打ちだと感じている、経験豊富な料理人の方
・料理長や独立開業など、次のキャリアステップを具体的に考えたい方
・他ジャンルの経験を活かし、本格的にイタリア料理の世界に挑戦したい方
・イタリア料理が好きで、未経験からプロの料理人を目指している方
・自分のスキルレベルを客観的に把握し、今後の学習計画を立てたい方
画像素材:PIXTA

飲食業界で「イタリアン」の世界へ飛び込もう

イタリア料理、通称「イタリアン」は、日本において幅広い世代に愛され、食文化として深く根付いています。

日本におけるイタリアンレストランの市場動向や需要

日本の外食産業において、イタリアンレストランは常に安定した人気を誇ります。カジュアルなトラットリアから特別な日に利用される高級リストランテまで、多様な業態が存在し、さまざまなシーンで利用されています。近年の健康志向の高まりから、オリーブオイルや新鮮な野菜をふんだんに使うイタリア料理は、ヘルシーなイメージも手伝ってさらに需要が拡大していると言えるでしょう。

イタリアンレストランの求人にはどんなものがある?

イタリアンレストランの求人は、他の飲食店同様、ホール(接客)と調理スタッフに分かれます。ホールの場合、未経験から接客のスペシャリストとして成長し、店舗運営に関わるキャリアを積むことができます。

調理スタッフはシェフ候補が中心ですが、その役割は多岐にわたります。未経験者や経験の浅い方は、仕込みや盛り付け補助からスタートする「調理補助」としてキャリアを始めます。
経験を積むと、前菜、パスタ、メイン(肉・魚料理)、デザートなど、各セクションを担当するポジションへとステップアップしていきます。さらに、店舗全体のメニュー開発やスタッフの管理を担う「料理長(シェフ)」や、その補佐役である「スーシェフ(副料理長)」といった管理職の求人もあります。

求人飲食店ドットコムで「イタリアン」の求人を見てみる

イタリアンシェフの仕事のやりがいと大変なこと

華やかに見えるイタリアンシェフの世界ですが、その裏には厳しい現実もあります。ここでは、仕事の魅力と、乗り越えるべき大変さの両面をご紹介します。

仕事のやりがい

多くのシェフが困難を乗り越えて厨房に立ち続けるのは、何物にも代えがたい喜びがあるからです。
お客様の「美味しい!」が最高の報酬になる
心を込めて作った一皿で、お客様が笑顔になる瞬間は、料理人にとって最大の喜びです。誕生日や記念日といったお客様の特別な時間に、自分の料理で華を添えられることは、大きなやりがいにつながります。

旬の食材との出会いと探求の楽しさ
季節ごとに変わる旬の野菜や、港から届く新鮮な魚介、珍しいジビエなど、素晴らしい食材に日々触れられるのは、この仕事の特権です。生産者の思いが詰まった食材の魅力をどうすれば最大限に引き出せるか、考え、試作を重ねるプロセスは、尽きることのない探求の旅です。

一皿で自分を表現できるクリエイティビティ
料理は、サイエンスであると同時にアートでもあります。伝統的なレシピを尊重しつつも、食材の組み合わせや盛り付けに自身の感性やアイデアを加え、新しい一皿を創造する。自分の料理が「作品」としてお客様に届くことは、自己表現の大きな喜びとなります。

大変なこと・厳しさ

一方で、情熱だけでは乗り越えられない厳しい側面も理解しておく必要があります。
体力勝負の長時間労働
仕込みから営業、後片付けまで、1日の大半を厨房で過ごします。火を使うため夏は暑く、冬は食材を洗う水が冷たい。その中で重い鍋を運び、一日中立ち続けるため、強靭な体力と自己管理能力が不可欠です。

厳しい上下関係と徒弟制度の文化
特に伝統を重んじる店では、厳しい師弟関係や上下関係が今も残っています。一人前になるためには、下積み時代に厳しい指導を受けながら、技術や仕事への姿勢を学ぶ忍耐力が求められます。

常に伴うプレッシャーと責任
お客様は、お金を払って「美味しい料理」への期待を胸に来店します。その期待に応え続けなければならないプレッシャーは常に付きまといます。また、食中毒などを絶対に出してはならないという衛生管理上の重い責任も担っています。

イタリアンシェフの給料・年収はどのくらい?

キャリアを考える上で、収入は非常に重要な要素です。イタリアンシェフの給料は、経験、スキル、働く店の規模や地域、役職によって大きく変動します。
目安としては、見習いクラスで300万円前後からスタートし、一人前の調理スタッフで350万~450万円、スーシェフ(副料理長)や料理長クラスになると500万~700万円以上を目指すことも可能です。もちろん、有名店のシェフや独立開業して成功した場合は、これを大きく上回る収入を得ることも夢ではありません。

以下に参考として、求人飲食店ドットコムが発表している平均給与データを示します。イタリア料理店に限定されたものではなく、飲食業界全体の参考値としてご覧ください。
職種別平均給与データ

職種/都道府県
料理長候補/調理スタッフ/調理補助・調理見習い/サービス・ホール/ソムリエ
東京:343,448円/285,706円/266,155円/278,483円/301,183円
大阪:332,781円/273,720円/254,616円/266,578円/-

※上記データは一例であり、実際の給与を保証するものではありません。

調理見習いからスタートし、調理スタッフとして経験を積み、最終的に厨房全体をまとめる料理長へとステップアップするにつれて、給与は着実に上がっていきます。また、ソムリエのように専門的な資格やスキルを持つ人材は、一般的なホールスタッフよりも高い給与を得られる可能性があります。

未経験から学ぶ、イタリア料理の奥深い世界

イタリア料理の魅力は、その美味しさだけでなく、豊かな歴史と文化に裏打ちされた奥深さにあります。プロを目指すなら、まずはその根幹をなす知識をしっかりと身につけることが大切です。ここでは、イタリアン入門として知っておくべき基本をご紹介します。
画像素材:PIXTA

イタリア料理の魅力と地方色の豊かさ

イタリア料理と一括りに言っても、その表情は地域によって大きく異なります。イタリアはかつて多くの都市国家が集まっていた歴史的背景から、州や地域ごとに独自の食文化が発展しました。
例えば、北部はバターや生クリーム、チーズを使った濃厚な料理が多く、リゾットやポレンタ(とうもろこしの粉を練ったもの)が主食として食べられます。一方、南部は温暖な気候を活かしたトマトやオリーブオイル、新鮮な魚介類が中心で、私たちに馴染みのあるパスタ文化が花開いています。

画像素材:PIXTA
国内のイタリアンレストランでは、ひとつの地方に着目した料理を中心に出す店舗もあり、掘り下げることで独自色を出している店もあります。こうした地方ごとの特色を学ぶことは、料理のレパートリーを広げるだけでなく、一皿に込められた物語を理解することにも繋がります。

ピザやパスタだけではない、代表的な料理の数々

イタリア料理はピザやパスタのイメージが強いですが、それ以外にも魅力的な料理が無数に存在します。食事は一般的に、前菜(アンティパスト)、第一の皿(プリモ・ピアット)、第二の皿(セコンド・ピアット)、デザート(ドルチェ)の順で構成されます。
前菜には、生ハムやサラミの盛り合わせ、魚介のマリネであるカルパッチョなどがあります。プリモ・ピアットはパスタやリゾット、スープなど炭水化物を含んだ温菜が主役に据えられます。
そしてセコンド・ピアットでは、牛肉のタリアータ(薄切りステーキ)や魚を丸ごと一匹使ったアクアパッツァといった、肉や魚を使ったメイン料理が提供されます。ドルチェでは、パンナコッタやティラミスといった日本でも爆発的なブームを起こしたメニューが提供されることも多いでしょう。

初心者が揃えたい、イタリア料理における基本の調理器具

本格的なイタリア料理に挑戦するために、特別な器具ばかりが必要なわけではありません。まずは基本となる調理器具を揃えることから始めましょう。
切れ味の良い包丁とまな板に加え、大きさの異なるいくつかの鍋やフライパンは必須です。また、パスタを茹でるための深めの寸胴鍋、ソースを煮詰めるためのソテーパンがあると便利でしょう。
また、イタリア料理ではさまざまなチーズを使うことも多く、チーズを削るためのグレーターや、手打ちパスタに挑戦するならパスタマシーンなども揃えたいアイテムの一つです。
画像素材:PIXTA

イタリア料理に欠かせない食材

イタリア料理の味の根幹をなすのは、シンプルで質の良い食材です。特に重要なのが、豊かな香りと風味をもたらすエキストラバージンオリーブオイル。そして、料理に酸味と旨味を加えるトマトは、ホールトマトやパッサータ(トマトの裏ごし)など、用途に応じて使い分けます。缶詰や瓶詰めで本場のトマトを使用している店も多く、シンプルな構成の料理だけに、素材で差別化をはかっています。
ニンニクやタマネギ、セロリなどの香味野菜はもちろん、パルミジャーノ・レッジャーノやペコリーノ・ロマーノといったチーズ、アンチョビやケッパーといった加工食品なども、イタリアンの風味を決定づける上で欠かせない食材と言えるでしょう。

「プロの味」に近づくための基本的な調理法

同じ食材を使っても、プロとアマチュアでは仕上がりに大きな差が生まれます。その違いを生むのが、基礎となる調理法の理解度です。ここでは、イタリア料理の根幹を支えるいくつかの重要な調理法を掘り下げて解説します。

すべての味の土台になる「ソフリット」

ソフリットは、タマネギ、ニンジン、セロリなどの香味野菜を細かく刻み、オリーブオイルでじっくりと炒めて作る、イタリア料理の「味の土台」です。
ソフリットは時間をかけて弱火で加熱し、野菜の水分を飛ばしながら甘みと旨味を最大限に引き出し、オイルに溶かしこみます。この工程を丁寧に行うかどうかで、煮込み料理やソースの深みが全く変わってきます。焦がさず、野菜が黄金色になり、ペースト状に近くなるまで根気よく炒めることが、プロの味を生み出す秘訣です。

トマトの旨味を凝縮した基本の「トマトソース」の作り方

トマトソースは、多くのイタリア料理に使われる基本中の基本です。美味しいトマトソースを作るポイントは、トマトの旨味成分であるグルタミン酸をいかに引き出すかにかかっています。

画像素材:PIXTA
作り方はシンプルで、まず鍋にオリーブオイルと潰したニンニクを入れて香りを出し、そこにホールトマトを加えて木べらなどで潰します。塩を加え、弱火でコトコトと煮詰めていきます。水分を飛ばし、トマトの味を凝縮させることが重要です。

酸味が残る、水っぽい…トマトソース作りでありがちな失敗と解決策

トマトソース作りでよくある失敗が、酸味が強く残ってしまったり、水っぽく仕上がってしまったりすることです。
酸味が残る原因の多くは、加熱不足です。トマトは加熱することで酸味が飛び、甘みと旨味が増します。最低でも15分から20分は弱火で煮込むことを意識しましょう。
水っぽい仕上がりになるのも、同様に煮込み時間が足りないことが原因です。木べらで鍋底をかき分けた時に筋が残るようになるくらいまで、焦がさないように注意しながらじっくりと水分を飛ばすことで、濃厚で美味しいトマトソースが完成します。

パスタは「アルデンテ」に茹でるべき?

パスタの茹で加減でよく聞く「アルデンテ」とは、「歯ごたえを残した状態」と思われることが多いのですが、本来は「中心に髪の毛一本分ほどの芯が残っている状態」を指します。この状態でパスタを茹で上げるのが重要とされる理由は、その後ソースと絡めて火を通す工程があるからです。
茹で上がった麺はフライパンの中でソースの熱と水分を吸って、最終的に皿の上で完璧な状態になるよう逆算されます。この状態を実現する茹で加減が「アルデンテ」です。つまり、アルデンテは目的ではなく、最高の状態で提供するための手段とされています。同じパスタを使っても、調理工程によって茹で時間は変わります。このタイミングを見極める感覚を養うことが、美味しいパスタ作りの基本です。

イタリアンの専門性をより高める調理テクニックを解説

基本をマスターしたら、次はいよいよ専門性を高める段階です。食材への深い理解と、それを活かす高度な調理テクニックが、あなたの料理を「ただ美味しい」から「感動を与える」一皿へと昇華させます。

手打ちパスタとソースの相性を考える

手打ちパスタは、その日の湿度や温度によっても生地の状態が変わる、非常に繊細なものです。タリアテッレやラビオリなど、形状によって食感も大きく異なります。プロの世界では、そのパスタが持つ特徴を最大限に活かすため、ソースとの相性(アッビナメント)を徹底的に考えます。
例えば、表面積が広くソースが絡みやすい幅広のパッパルデッレには、猪やウサギ肉を使った濃厚な煮込みソースを。繊細な詰め物をしたラビオリには、バターとセージのようなシンプルなソースを合わせることで、中の具材の風味を引き立てます。

肉や魚への「火入れ」がプロとアマチュアの違いを分ける

素材の味を最大限に引き出す「火入れ」は、料理人の腕が最も試される技術の一つです。肉であれば、表面は香ばしく焼き上げつつ、中心はしっとりとしたロゼ色に仕上げる。魚であれば、皮はパリッと、身はふっくらとジューシーに。
これを実現するためには、食材の厚みや状態を見極め、フライパンの温度、火やオーブンといった使用する熱源の特性や、火入れをした食材を休ませる時間まで、精密にコントロールする技術と経験が求められます。この一瞬の見極めこそが、プロとアマチュアを分ける大きな壁と言えるでしょう。

伝統と革新、モダンイタリアン最前線

イタリア料理は、マンマの味と呼ばれるような伝統的な郷土料理を大切にする一方で、常に進化を続けています。現代のトップシェフたちは、伝統的な調理法や食材の組み合わせを尊重しつつも、最新の調理科学や他国の食文化の要素を取り入れた、新しいスタイルのイタリアン「モダンイタリアン」を創造しています。
真空調理法や液体窒素を用いた意外性のある一皿、日本の食材や出汁の文化を取り入れた繊細な味わいなど、その表現はさまざまです。伝統への深い理解があってこそ、革新的な料理は生まれます。最前線の動向を学ぶことは、料理人としての引き出しを増やす上で欠かせません。

イタリアンレストランのキャリアパスを解説

情熱を持ってイタリアンの世界に飛び込んだとしても、将来のキャリアプランが見えなければ不安になるものです。ここでは、イタリアンの世界に入った飲食関係者が、調理とホールのそれぞれの立場でどのように成長し、どのようなキャリアパスを描けるのかを具体的に解説します。

画像素材:PIXTA

ホールスタッフ(接客)としての成長ステップ

お客様に最高の食体験を提供する上で、料理と同じくらい重要なのがホールスタッフの存在です。心のこもったサービスは、料理の価値を何倍にも高めます。

1.見習い・カメリエーレ(ウェイター)
キャリアの始まりは、お客様のご案内、オーダーテイク、料理やドリンクの提供、テーブルの片付けといった基本的な業務を覚えることからです。この段階で、お店のメニューやワインの基本知識、正しいサービスの作法を身につけます。

2.セクション担当(シェフ ド ラン)
経験を積むと、特定のエリアを担当する「シェフ ド ラン」を任されます。担当するテーブルのお客様と密にコミュニケーションを取り、料理の詳細な説明やその日のおすすめを提案するなど、よりパーソナルな接客が求められます。お客様の食事のペースを把握し、厨房と連携して最適なタイミングで料理を提供する重要な役割です。

・ソムリエ
イタリアンはワインと合わせることも多く、専門家として、お客様の好みや料理に合わせたワインを提案する「ソムリエ」としてのキャリアを積むこともできます。ワインリストの作成から仕入れ、在庫管理までを任されることもあります。資格取得はもちろん、生産地やブドウ品種に関する深い知識と探求心が求められる専門職です。

3.支配人・店長(マネージャー)
店舗運営の最高責任者です。ホール全体のサービス品質の維持・向上、スタッフの採用と教育、売上管理、プロモーションの企画立案など、その業務は多岐にわたります。料理長と二人三脚で店をまとめ上げ、お客様に愛される店づくりを目指す、非常にやりがいのあるポジションです。

画像素材:PIXTA

料理人としての成長ステップ

イタリアンレストランにおけるキャリアは、一般的に段階を踏んでステップアップしていきます。

1.調理補助(アッピアット)
まずは、食材の洗浄やカットなどの仕込み、皿洗いや厨房の清掃といった補助的な業務からスタートします。この段階で、プロの現場のスピード感や衛生管理の重要性を学びます。

2.各セクション担当(コック)
経験を積むと、前菜(アンティパスト)、パスタ(プリモピアット)、メイン(セコンドピアット)、デザート(ドルチェ)など、特定のセクションを任されるようになります。ここで各分野の専門的な調理技術を習得します。次のポジションに上がるには、担当セクションの仕事を完璧にこなすだけでなく、他のセクションの動きも理解し、連携できる視野の広さが必要です。

3.スーシェフ(副料理長)
料理長の右腕として、厨房全体の管理を補佐するポジションです。調理はもちろん、他のスタッフへの指示出し、食材の発注や在庫管理、原価計算なども担当します。

4.料理長(シェフ)
厨房の最高責任者です。メニュー開発、調理の最終チェック、スタッフの育成、売上管理まで、店舗運営に関わる全ての責任を負います。料理長になるまでの期間は、本人の努力や店の規模によって大きく異なりますが、一般的には10年以上の経験が必要とされることが多いです。

「リストランテ」や「トラットリア」だけじゃない、多様な働き方

イタリア料理の専門性を活かせる場は、街のレストランだけではありません。経験と実績を積めば、自身の店を持つ「独立開業」という大きな目標も現実のものとなるでしょう。
また、大規模な宴会やウェディングで料理を提供するホテルのレストラン、ブライダル施設も大きな活躍の場です。あるいは食品メーカーで新商品の開発に携わったり、料理教室の講師として自身の技術を伝えたりする道もあります。このように、イタリアンで培うスキルは多様なキャリアパスに繋がる可能性を秘めています。

リストランテ・トラットリアとは?

イタリアンの店舗形態としてよく耳にする「リストランテ」と「トラットリア」。リストランテは、一般的に格式の高いレストランを指し、コース料理が中心で、サービスも丁寧です。特別な日の食事などに利用されます。
一方、トラットリアはより大衆的で、地域に根ざした家庭的な雰囲気の店を指します。アラカルトメニューが豊富で、気軽に食事を楽しめるのが特徴です。どちらの形態で働くかによって、求められるスキルや店の雰囲気も異なります。

イタリアンシェフになる夢をかなえる選択肢

プロのイタリア料理人になるという夢を叶えるためには、どのような道筋があるのでしょうか。国内での修業から本場イタリアへの留学まで、あなたの目標や状況に合わせた選択肢を検討してみましょう。

国内で理想の「修業の場」を見つける

日本国内には、本場に勝るとも劣らない素晴らしいイタリアンレストランが数多く存在します。まずは、自分が「こんな料理を作りたい」と心から思えるシェフの店を見つけることが重要です。レストランのウェブサイトやSNS、料理専門誌などを活用して情報を集め、実際に食べに行ってみるのが一番です。その上で、ここで働きたいという情熱を直接伝えましょう。

有名店のシェフに「弟子入り」するには?

有名店の門を叩くのは勇気がいることですが、不可能ではありません。まずは求人情報が出ていないかを確認します。出ていない場合でも、手紙やメールで熱意を伝える、あるいは直接店を訪ねて思いを伝えるといった方法が考えられます。
重要なのは「なぜその店でなければならないのか」ということを伝え、自分の情熱と貢献できることを具体的に示すことです。最初は見習いからのスタートになるかもしれませんが、一流の技術を間近で学ぶ経験は、何物にも代えがたい財産となります。

本場イタリアへ「料理留学」という選択肢

より深くイタリア料理を追求したいなら、本場イタリアへの料理留学も有力な選択肢です。現地の空気、文化、食材に直接触れることで、料理に対する理解度が格段に深まります。語学学校に通いながら料理学校で学んだり、レストランで見習いとして働いたりと、留学の形はさまざまです。

画像素材:PIXTA

語学力はどれくらい必要?

厨房でのコミュニケーションは基本的にイタリア語です。スムーズに仕事を進めるためには、少なくとも日常会話レベル以上の語学力は身につけておきたいところです。日本にいるうちから語学学習を始めておくと、現地での吸収が格段に早くなります。

留学の費用はいくらかかる?

留学費用は、期間や都市、学校の種類によって大きく異なります。学費、渡航費、滞在費、生活費などを合わせると、1年間の留学で200万円から400万円程度が目安となるでしょう。国内のイタリアンレストランで働いている場合、自社に補助金などの制度がないか確認してみるのもよいでしょう。

帰国後のキャリアパスは?

イタリアでの修業経験は、帰国後のキャリアにおいて大きな強みとなります。本場の技術や知識を身につけた料理人として、有名レストランへの就職や、自身の店の開業時に大きなアピールポイントとなるでしょう。現地のワイナリーや生産者など「人」との繋がりができることも、大きな財産です。

留学を検討する際の注意点

留学には、ビザの取得という大きなハードルがあります。学生ビザやワーキングホリデービザなど、目的に合ったビザを計画的に取得する必要があります。また、現地の労働環境は日本と異なる場合が多く、厳しい条件で働く覚悟も必要です。情報収集を怠らず、十分な準備をして臨むことが成功の鍵です。

イタリア料理人に役立つ資格と活かし方

イタリア料理人になるために必須の資格はありませんが、自身のスキルを証明し、キャリアアップに繋がる資格はいくつかあります。
・調理師免許:料理人になる上で調理師免許は必ずしも必要ではありません。しかし、食に関する衛生知識や調理理論を体系的に学んだ証明となり、信頼性を高めます。
・ソムリエ:ワインの知識を深め、料理とのペアリングを提案できる強みになります。お客様への提案の幅が広がるだけでなく、飲料の仕入れや管理を任されるきっかけにもなるでしょう。
・チーズプロフェッショナル:多種多様なイタリア産チーズの知識を深め、料理やサービスに活かすことができます。

また、以下の記事では飲食店の接客や調理、運営に役立つ資格を詳しく解説しています。
飲食店での接客・調理・店舗運営・マネジメントに役立つ資格14選

夢を叶えるためには、小さな一歩から

憧れのイタリアンシェフへの道は、決して平坦なものではありません。日々の地道な仕込み、厳しい修業、そして終わりのない探求心が求められます。しかし、この記事で紹介したように、その道筋は一つではありません。

未経験から基本を学び、プロの調理法を習得し、多様なキャリアパスを描いていく。そのすべては、あなたが「美味しいイタリア料理を作りたい」という情熱を胸に、最初の一歩を踏み出すことから始まります。あなたの夢を叶えるための挑戦を、心から応援しています。

イタリアンで働く よくある質問

Q.

まったくの未経験ですが、イタリアンシェフになれますか?

A.

はい、なれます。多くのレストランでは、未経験者を「調理補助」として採用し、一から育てる体制が整っています。大切なのは、料理への強い情熱と学ぶ意欲です。まずは皿洗いや仕込みといった基本的な仕事からスタートし、現場のスピード感やプロの技術を肌で感じながら、一歩ずつステップアップしていくことが可能です。

Q.

経験者ですが、給与アップやキャリアアップのために何をすべきですか?

A.

自身の市場価値を高めるためのスキル習得が重要です。例えば、特定の分野(手打ちパスタ、肉の火入れなど)の技術を極める、ソムリエ資格を取得してワインの知識を深める、原価管理やマネジメントのスキルを学ぶなどが考えられます。現在の職場で新しい役割に挑戦できないか相談したり、より高いポジションや給与を提示しているレストランへの転職を検討したりするのも一つの方法です。

Q.

イタリアへの料理留学に興味がありますが、何から始めればいいですか?

A.

まずは情報収集から始めましょう。留学エージェントや料理学校の情報を集めると同時に、留学の目的(何を学びたいか)、期間、予算を具体的に考えます。また、日本国内でイタリア語の学習を始めることも非常に重要です。目的や予算が固まったら、エージェントのカウンセリングを受けたり、経験者の話を聞いたりして、具体的なプランを作成していくと良いでしょう。